グレープブランデーから10年…浜中が再び導いた砂王
2023年06月30日 05:00
競馬
こうして続く一戦でG1のフェブラリーSに挑戦することになるのだが、短期免許だったルメール騎手は帰国。空位となった鞍上に、浜中騎手が戻された。
G1でまたもお声がかかった要因の一つに、同騎手が前年の12年にリーディングジョッキーを獲得していたという実績があると思われた。そこで当時「実績を認められて大舞台で騎乗依頼をもらえるのは、一流騎手の証だね?」と声をかけると、本人はかぶりを振って次のように答えた。
「そんなことはありません。(武)豊さんら本当の一流ジョッキーは、G1でいきなり声がかかっても“既に他の騎乗馬が決まっているから…”と断るケースが多いはずです。直前に依頼されて乗れているうちはまだまだだと思います」
とはいえ、勝ちたい気持ちは当然、持っていた。
「前年はリーディングといってもG1勝ちは皆無でした。だから、ここは何としても勝ちたかったです」
すると、競馬の神様がご褒美をくれた。
「“勝つ時はうまくいく”とよく言うけど、まさにそんな競馬でした。枠順、展開、コース取り等、全てがうまくいって勝てました」
それからちょうど10年。新たなダート王メイショウハリオの母の父はグレープブランデーの父と同じマンハッタンカフェ。そして、父はパイロという事で、海外遠征もあるかもしれない。浜中騎手とのさらなる飛躍に期待したい。 (フリーライター)