7年目の富田 重賞初制覇を呼んだ師匠の“教え”
2023年09月15日 05:00
競馬
そんな“強い思い”でやっと騎手になった彼とゆっくり話す機会があったのは今から4年前の19年。場所はオーストラリアだった。単身遠征し、生活の拠点としていたメルボルン市内から車を飛ばすこと3時間以上。海岸近くにあるワーナンブールという競馬場で騎乗した彼は見事にこれを勝利。市内に戻った後、じっくり話を聞くと言った。
「異国のこんな遠いところまで来て、勝てる馬に乗せてもらえたのも、師匠の言葉のおかげです」
“師匠”とは、富田騎手がデビュー時から所属している木原一良調教師のこと。その師匠に言われた言葉を、「忘れたことはない」と言い、続けた。
「“競馬に乗れるのは決して自分一人の力ではありません。たくさんの人たちのおかげで乗せてもらえていることを自覚して、感謝の気持ちを忘れないようにしなさい”と言われました」
以来、どれだけ月日が過ぎても、国境をまたいでも、その気持ちを忘れないように心がけた。その結果、赤道を越えたオーストラリアでも「乗せてもらえ、勝たせてもらえた」と言う。
今後もそういう気持ちを忘れない限り、さらなる活躍が期待できるだろう。ちなみに重賞初制覇となったテイエムスパーダは、師匠である木原調教師が管理する馬だった。 (フリーライター)