シュワッ!原沢久喜、ウルトラマン作戦 攻め切れ最初の3分間
2016年07月18日 11:15
五輪
もちろん練習ではみっちりとリネール対策に取り組んでいる。今月のスペイン合宿では2度の乱取りを行い、相手の出方をうかがってきた。「スペインから帰って、相手の組み手の特徴を考えて、(リネール得意の)隅返しの防御もやっている」とより具体的な対策に着手している。
日大の金野監督も愛弟子と最強王者の戦いを細かにシミュレーションしている。勝負の鍵に挙げたのは最初の3分間の攻防だ。「3分まで何も(ポイントが)ない状態でいけば勝てる。指導1でもチャンス。指導2もらうようでは厳しい」と予測を立てた。
「リネールはしのぐ選手を料理するのは上手。稚拙でも前に出て攻撃しないと」。握りの位置、スピードに変化をつけながら、間合いをつめて前に出続ける。「本人(リネール)も受けが強くないと分かっているから、間合いをつめてくる選手は嫌がる」。序盤で指導を取られなければ、ウルトラマンのようなリネールが焦り、“カラータイマー”がピコピコと点滅し始めるはず。スタミナと馬力のある原沢がそこから勝機を見いだす。これぞ金野監督の青写真だ。
日本人選手のリネールとの対戦成績は4勝17敗。10年世界選手権で上川が優勢勝ちして以降、王者に屈し続けている。しかし原沢はまだ対戦経験がなく、勝負づけは終わっていない。未知の可能性を五輪本番でぶつければ、番狂わせを起こせるかもしれない。