埼スタに鳴り響いた中東の笛…本田 W杯予選出場7戦連発も空砲
2016年09月02日 05:30
サッカー
温かい声援が骨身に染みた。敗戦後、小刻みに走りながら場内を一周したFW本田に全く笑顔はなかった。前半11分、清武の右FKにファーサイドで合わせる先制ヘディング弾。W杯予選で出場7試合連続ゴールとなり、15年アジア杯準々決勝で敗れた因縁の相手の出はなをくじいた。しかし、不可解な判定があったとはいえ、前半のうちに追いつかれ、後半にPKで勝ち越しを許した。「全く想定していなかった結果。それは残念です。勝負弱かったですね」。前回のW杯最終予選初戦でも先制点を挙げた男は、悔しさをにじませた。
先制しながら速攻を受けて2失点。本田は両チーム最多6本のシュートを浴びせながら追加点が奪えなかった。「1点取ってからコントロールしてもいい。リスクを取った戦い方をして、2―0になったら逆の結果になった。それは結果論」。多くの好機を逸した自身、引いた相手を崩せないチームへの自戒を込める。「数値上、今の日本代表は凄くいい戦力だと思う。試合に勝つのは数値で表せないものだったりする。そこが欠けているのは間違いない」。閉塞(へいそく)感漂う現状へ、もどかしさを吐露した。
波乱含みの敗北に本田節は熱を帯びた。「戦い方以前に根本的に、気合、根性みたいな。一歩足を出してつぶすとか、負けず嫌いなものが90分大事な場面で求められる。そこが地味に足りない」と訴えた。
認められなかった後半32分の浅野のシュートには「ゴールでした。僕の記憶と目が正しければ確実にボール2つ分入っていた」と切り出し、セリエAなどで採用されているゴールライン際の追加副審の不在を嘆いた。「ラインズマンは知らんぷり。(判定が)覆らないと思ったんで、イチかバチかで話しましたけど…。それは言ってもしゃあないんで」。審判のレベルについては「アジア最終予選はどこも強くなっている。この先も簡単にいかないのは分かった上で、(審判にも)そのレベルを求めたい」と語った。ただ、判定もサッカーのうち。だからこそ、経験の重要性を説き、国内組の積極的な海外移籍について「必ず必要なアプローチ。国際大会は別の質なんで」と吠えた。
夏の移籍期間が終わり、開幕2試合で出場機会のないACミラン残留が決定。「1試合で全て終わることではないことをポジティブに受け止めたい。9試合全て勝つつもりでいく。切り替えたい」。数々の苦境を踏み台にした本田にとって、目の前の壁は乗り越えるためにある。
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