仙台・渡辺監督 5年目のチームに根付いた剛胆かつ緻密なプレー
2018年05月22日 10:45
サッカー
そもそも渡辺監督は、表裏のない誠実で豪快な人柄を持ち合わせている。だからこその二つ返事だったのだろう。そのほかの事例も枚挙にいとまがない。「来季は3バックでいく」「堅守速攻ではなくボールを握る」。17年シーズンを前にしてトレーニングマッチで新布陣を試していたとはいえ、「書いていいぞ」とのお墨付きを得て様々な構想を明かしてくれた。コラムの各回でも、基本的には秘密なしの剛胆さは表れた。
17年8月5日に行われたアウェーの鹿島戦。記録的な濃霧に襲われ、試合中断、カラーボール投入、さらにピッチ脇には大型扇風機が持ち出されるなど、記憶に残るゲームとなった。「大変でしたね」。そう投げかけると「現地サポーターもきちんと試合を見られてないんじゃないかな。スカウティングビデオを確認しても、全くプレーが映ってない」とお手上げの様子。選手達には「こっちではきちんと把握できていないので、みんなで話し合ってくれ」と正直に伝えたという。
一方で緻密な戦術家であり、勤勉な勉強家の一面も持ち合わせる。先の視察で訪れたドイツのクラブでは、最新の練習を見学するに飽き足らず、自ら実践。効果ありと実感するや、チームへの落とし込みを試行錯誤した。またイングランドではチェルシーの戦い方から着想を得たうえで、次々に理論を取り込み、各方面から「仙台が面白い」と評価されるまでのサッカーを築き上げた。「ポゼッションは目的ではなくゴールを奪う手段に過ぎない」と話すが、崩しの質や量は、本家とも言える川崎フロンターレに勝るとも劣らない。ちなみに4バック時代から変わらぬコンセプトは「球際、切り替え、走力」。ベースの三点ではどこにも負けるなと指示、あくまでも崩しの部分は土台の上にあるものだ。
剛胆と緻密。18年5月20日に鹿島アントラーズをデュエルで圧倒した様子を見れば、渡辺監督の内側に同居する性格が、率いて5年目のチームに根付いていることがうかがえる。(古田土 恵介)
おすすめテーマ
2018年05月22日のニュース
特集
サッカーのランキング
-
酒井宏 25日合流へ、気持ち一新「やれることをやりたい」
-
川島 25日合流予定、力込め「チームの指針になれるように」
-
“慶応ボーイ”武藤 慕う本田もライバル視「負けたくない」
-
井手口 ピッチ遠く、試合勘に不安残すも「楽しみの方が強い」
-
柏GK中村、20日リーグ戦で負傷も予定通り代表合宿合流へ
-
ヘント久保 V弾でW杯望み!PO4位確定、27日の試合回避
-
ガラタサライVから一夜 長友 セレモニーで“サムライ演舞”
-
アンデルレヒト森岡 代表落選に「残念ですけど、しゃあない」
-
ハリル氏 24日に提訴、慰謝料1円と謝罪広告の掲載求める
-
バルサ涙の退団セレモニー イニエスタ「素晴らしい22年」
-
フル出場2発!トーレス有終の美「最後だと思うとつらい」