ステイホーム
2020年06月01日 08:00
サッカー
それとは別に気になるのが、フランチャイズ制を採用する野球、サッカーといったプロスポーツ。「ホームチームはビジターより優位にある」という命題に、どの程度影響を及ぼすのだろうか。
2012年にダイヤモンド社が発行した「オタクの行動経済学者、スポーツの裏側を読み解く」=写真=という本がある。シカゴ大のトビアス・J・モスコウイッツ教授と、スポーツイラストレイテッド誌のL・ジョン・ワーサイム記者による共著だ。モスコウィッツ教授は金融学が専門だが、プロスポーツ界で常識とされるさまざまな事象について膨大なデータを基に分析。時に証明し、時に反論している。
驚いたのは、ホームチームが地元試合でなぜ強いかを理路整然と解析したことだ。一般的には(1)観衆の後押し(2)相手が遠征で疲労している(3)本拠地に慣れている…が理由として挙げられるものの、実はこの条件はアウェーチームもほぼ同じなのだとか。では勝負を分ける最大の要因とは何か。実は審判の判定にかかるバイアスだという。
どんなに熱狂的なファンからの声援を浴びたところで選手のプレーの質は変わらない。しかし審判のコールはホーム寄りとなる傾向が見られるという。対照的に、欧州サッカーでの過去の無観客試合を分析したところ、レフェリーの笛からはその傾向がほぼ消えた!
そう言われればそうかもしれない。審判だって人の子。スタジアムを埋め尽くした大観衆の反応が全く気にならない、とは言い切れないだろう。判定基準に揺らぎが生じるのは、むしろ自然な現象だ。実際のところ、今回再開したブンデスリーガではホームチームの勝率が大幅に下がったというニュースもあった。
さて6月19日から始まるプロ野球、そして7月再開のJ1。当面の間は無観客での開催だ。優勝の行方を追う一方で、本拠地チームの勝率にも注目してみたい。
しっかし、典型的な不要不急のコラムだったなあ…。(専門委員)