梅山修氏 スタイルぶつけあって敗戦…結果と向き合い再出発を
2021年09月14日 05:30
サッカー
とはいえ、前半10分のCB(センターバック)早川から、DFの背後にランニングしたMF高木へのシンプルなロングパス、その高木からのクロスを見事なボレーシュートで決めた谷口の先制点は、その打開策を自ら示したと言える。このシーン以外にも特に前半は、自陣でボールを奪った瞬間に攻撃で高い位置を取る相手の両SB(サイドバック)の背後を素早く突く意図は見て取れたし、実際に多くのチャンスをつくった。このように「いかに素早く攻めるか」あるいは「いかに相手の背後を突くか」は重要なポイントになる。
個人的にはボールを保持し、攻撃し続けようとするポゼッションサッカーの信者である。しかし、気をつけなければならないのは、ポゼッションという言葉を強調しすぎると、それ自体が目的化してしまい攻撃が遅くなる傾向がある。そもそもポゼッションもビルドアップも、その最大の目的は相手を動かして「背後を突き」「ゴールを決める」こと。先制点はそれを自ら端的に示した。
また、この日の山形から学ぶべき点として、ゴール前のスプリントが挙げられる。2失点はいずれも、蹴り込むべきゴールに向かって複数人がスプリントしている。シュートを打つために走り込む人数とスピードが、ゴール数と結果に違いを生んだと言えるだろう。
次節はアウェーの東京V戦。監督交代直後のチームには集中力や一体感が高まりやすいので特に注意が必要ではある。しかし、この1週間は改めて「良いサッカーとは何か」「目的は何か」という自分たちのサッカーと向き合うことが、昇格戦線を戦い抜く上でより重要となる。(元アルビレックス新潟DF)