イニエスタ 304日ぶり先発で全盛期ほうふつの81分 神戸に、バルサに、涙で感謝「楽しい一日に」

2023年06月07日 05:30

サッカー

イニエスタ 304日ぶり先発で全盛期ほうふつの81分 神戸に、バルサに、涙で感謝「楽しい一日に」
<神戸・バルセロナ>後半、交代となりシャビ監督と抱擁するイニエスタ(撮影・西海健太郎) Photo By スポニチ
 【国際親善試合   神戸0-2バルセロナ ( 2023年6月6日    国立競技場 )】 J1神戸とスペイン1部バルセロナの国際親善試合が6日、東京・国立競技場で行われ、今夏限りで神戸退団が決まっている元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(39)が今季初めて先発出場し、後半36分までプレーした。FWメッシ、MFシャビらと数々のタイトルを獲得して黄金期を築いた古巣との対戦で、全盛期をほうふつさせる世界屈指の技術を披露してサポーターを魅了した。
 場内を一周しながら、あふれる涙をこらえ切れない。悲しみで胸を締め付けられた5月25日の退団会見とは意味合いが違う。「(神戸でプレーした)5年間の経験は人生の一部。それを思い返すと特別な感情が芽生えてきた」とイニエスタ。充実感と感謝の気持ちで満ちあふれていた。

 「この試合は日本のファンへ、お別れを告げる場。与えてくれたリスペクトと愛情への恩返しだった。それが達成できて良かった」

 昨年8月6日のリーグC大阪戦以来304日ぶりの先発出場。81分間にわたり躍動した。前半10分には左サイドから糸を引くようなスルーパス。同31分には右足シュートを放った。その4分後には右CKをFWリンコンの頭にドンピシャで合わせた。雨で滑りやすいピッチでも技術はウソをつかない。後半36分に交代するまで、4万7335人のサポーターを魅了した。

 試合前にはバルセロナ時代の盟友で、現在は同チームを率いるシャビ監督と熱い抱擁。ピッチを退く際にも再びハグをかわした。「チームメートであり親友。僕にとってはそれ以上の存在だよ。滞在時間が24時間もない強行スケジュールで来てくれて感謝している。何より楽しい一日になった」。古巣の心遣いにも目頭を熱くした。

 望みながら神戸での現役引退はかなわなかった。「ここ(神戸)で引退する姿を想像していた。プレーしながら引退したい」。出場機会を求め、離れることを決意した。それでも功績は色あせない。19年度の天皇杯は主将としてクラブに初タイトルをもたらした。クラブが初出場した20年ACLは4強進出。大会後に全治4カ月の右大腿直筋近位部腱断裂と判明する大ケガを負いながら、リスクを承知の上で準々決勝の水原戦(韓国)に強行出場。勝利への執念を自ら示し、チームに植え付けた。

 「行き先は決まっていない」。新天地にも注目は集まるが、その前に最後の仕事が待っている。日本でのラストマッチとなる7月1日のリーグ札幌戦。18年7月から支えてくれた神戸サポーターに“アンドレス・イニエスタはここにいたんだ”ということを証明する。(飯間 健)

【イニエスタとバルセロナ】
 ☆加入 8歳から地元クラブのアルバセテ・バロンピエで競技を始め、12歳の時に出場した7人制の大会で活躍。勧誘を多く受けた中で両親の薦めでバルセロナの下部組織寮を見学して加入を決意。
 ☆出場記録 18歳だった02年10月にトップチームでデビュー。18年の退団までに公式戦で記録した出場674試合はメッシの778、シャビの767、ブスケツの722に次ぐクラブ歴代4位。57得点を挙げている。
 ☆タイトル トップチーム在籍16季で獲得したタイトルは計30でスペイン1部リーグ9、スペイン国王杯6、欧州CL4、クラブW杯3、スペイン・スーパー杯6、欧州スーパー杯2。08~09年、14~15年はリーグ、国王杯、CLの主要3冠に貢献。

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