東京V中村社長インタビュー「サッカー界を越えてスポーツ界、一般社会にも価値が自然に伝わるクラブに」

2024年02月22日 10:35

サッカー

東京V中村社長インタビュー「サッカー界を越えてスポーツ界、一般社会にも価値が自然に伝わるクラブに」
東京Vの中村考昭社長 Photo By スポニチ
 16年ぶりにJ1に昇格した東京Vの中村考昭社長がインタビューに応じ、今季のビジョンや今後のクラブのあり方について語った。
 ――J1昇格の反響はあったか。
 中村社長「想像以上。プレーオフは5万3264人で、直前にカードが決まるスケジュールの中で、これだけのお客さんが来た。シーズン前も記事の量が増えたし、BS松竹東急がメディアパートナーとなって、応援番組ができた。開幕戦もテレビで中継されるし、反響をすごく感じている」

 ――J1になって変えていっているところはあるのか。
 中村社長「J1に上がったから何かを特別にそこだけ変えているのではない。数年前から組織そのものを変えていっている。改革、チャレンジ、挑戦のプロセスの過程でJ1というステージを勝ち取れた。変えていく部分は多岐にわたるし、すべての部分だと思っている。10、20ではなく、1000、1万という数の変えるべき点がある。いきなり1カ月、1週間で変わることはない。それをひとつひとつ優先順位付けて成長させている。クラブハウスやグラウンドやウエート施設、トレーニング環境、選手も編成も、指導体制、強化部も変わっている」

 ――ヴェルディはどうあるべきだと考えているのか。
 中村社長「ヴェルディはサッカー界で輝かしいものがある。J1に上がって、その道のりを新たに歩んでいるが、サッカー界を越えてスポーツ界、一般社会にも価値が自然に伝わるクラブになりたい。過去の一時期から記憶が止まっている。今のヴェルディが、そういう形で社会に伝わっていてほしいし、楽しみ、喜び、素晴らしさを世の中に伝えられる存在になっていたい」

 ――昔はJリーグの象徴だったが。
 中村社長「そこに戻るのではなく、越えていきたい。クラブの規模や事業の規模が大きくなればなるほど、様々なものに投資が可能になり、さまざまなものにお金が使える。一定の比例関係にあるわけで、各クラブも成長しているので、ヴェルディも成長しないといけない。他クラブより速いスピードで成長しないといけない。成長の変化率、スピードというかそこに向かっていきたい。プロサッカークラブである以上はお客様に入っていただき、チケット収入になる。たくさん入るクラブは企業の協賛という意味でも価値が高まる。グッズとかファンクラブとか飲食にも比例的に波及的に増えていく。そう言うクラブにしたいし、そうするように取り組んでいる。観戦者数は力を入れて伸びている。おととしは1試合平均4955人、昨季は7982人、プレーオフを入れると1万人を越えている。倍のスピードで増えている」

 ――収入が増えて、事業規模も上がってきている。
 中村社長「J1に上がって、スポンサーの協賛契約が増えた。POファイナルは12月2日だったが、それでも新たに10社以上の企業から協賛してもらえて、金額帯も今までのヴェルディからすると大きな金額で締結できるようになった。変化がそういうところにも出てきている。繰り返しだが、J1がゴールでなく、日本を代表する、日本をリードできる、アジアをリードできるクラブになりたいと思っている」

 ――ここまで来るのはたいへんだった。
 中村社長「過去を含めて多くの歴史、紆余曲折、華やかな時代、ものすごく厳しい時代を経験し、Jクラブで一番凝縮されている。きらびやかな初期があり、10年ぐらい前は市民クラブともいえないぐらい苦しい時期もあった。短期的な栄枯盛衰に影響されるべきでない、中長期的に存続し、社会に存在するクラブでないといけない。どこかだけに依存する経営体制ではいけない」

 ――そういう中で育成型クラブを目指すと言っているが。
 中村社長「いろいろな捉え方があるが、若い選手を育てるだけではなく、スタッフ、選手、フロントが常に成長して伸びていくということが本質」

 ――ヴェルディらしいサッカーがなくなったと言われるが。
 中村社長「ヴェルディらしさとは、過去に戻ることではなく、常にチャレンジし続けて挑戦するスピリッツ、あり方だと思っている。ボールをきれいに回す、華やかに完全に崩して誰もいないゴールに蹴り込んで点取るのがヴェルディらしさではない。最後のフィニッシュのイメージだけではなく、DFも攻撃も、アグレッシブにやっているからこそ。城福監督がやっているサッカーは常にチャレンジしている。技術的な部分や戦術的な部分だけでなく、その価値観こそがヴェルディらしさだと思う。過去のものを追い求めることではないと思っている」

 ――いよいよ開幕だが。
 中村社長「開幕は象徴的でJリーグにとっても意味のある試合。しかし、我々にはJ1初戦で一歩目、当然次の試合があるし、J1は38試合ある。それをどれだけ集中してやっていけるかと思っている」

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