存在感を示したU23高井 中3時は「板倉よりスケールが大きい」とセンターバックで10番
2024年08月04日 07:56
サッカー
そんな高井の成長を所属する川崎Fの下部組織で見守ってきた長橋康弘U―18監督(49)は「本当に恵まれたものを持っていた」と当時を振り返る。
U―15監督時代を含めて中学2年から高校3年まで指導。「大きいのによく動く。ボール扱いも上手。将来が楽しみで間違いなくトップに昇格させなければと思った」という。
高校2年だった22年2月にクラブ史上最年少でプロ契約。DFでは板倉滉(現ボルシアMG)以来のトップ昇格だったが、のちの日本代表も指導していた長橋監督は「高井は(板倉より)もっとスケールの大きな選手に見えていた」と明かす。
中学3年時には攻撃の中心選手に与えることが多いエース番号を、センターバックの高井に付与。「あのポジションで10番は後にも先にも彼だけ。“引っ張ってもらわないと困る。チームの勝敗が懸かっている”と伝えた」。高校3年時は主将に指名。トップチームで練習し、試合の時だけU―18に合流する難しい二重生活の環境下で「ゲーム状況を見てチームとしてどういうプレー選択をしなければならないか」と頭を使わせ、プレーの幅を広げるために負荷を掛け続けた。既成の枠組にとらわれない育成が高井の成長につながった。
この日、2得点したスペインのMFフェルミン・ロペスやセンターバックでコンビを組んだエリク・ガルシアと17歳のクバルシはいずれもバルセロナに所属。高井はスペイン選手の所属に触れて「強豪で出ている選手もたくさんいた。自分たちもそうなっていかないと」と語った。将来的な海外移籍も視野に英語学習にも取り組む大器。悔しさを味わったパリ五輪をさらなる飛躍への踏み台にする。
○…小学生時代から高井を知るJ3福島のDF松長根悠仁(19)は凄さの1つにタフなメンタルを挙げる。「ミスしても動じない。いい意味で気にしない。ふてぶてしさみたいな。次のプレーに引きずらないのは昔から感じていました」。今季、福島に期限付き移籍するまで小学5年から川崎Fの下部組織で同期。長く高井と苦楽をともにしてきたが、マイペースで動じない男は弱音を吐くことも少なく、トップチームとU―18の二重生活で負担が大きかった時期でさえ「休みがなくて結構きつい」という声を一度聞いたことがあるだけだった。そんな姿に「高井が活躍していたら、もっと頑張らないと」と刺激を受けてきたという。