どうなるマスク 今日からコロナ「5類」へ移行

2023年05月08日 05:30

社会

 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが8日、季節性インフルエンザと同じ「5類」へ移行した。外出自粛要請や濃厚接触者の特定は廃止され、3年以上、市民生活を制限してきた感染対策が大幅に緩和される。これに伴い、市場の大きな変化が予想されるのが家庭用マスク。コロナ前の規模まで縮小するのか、業界関係者に聞いた。
 日本で最初の感染者が確認された2020年1月以降、生活必需品となったマスク。5類移行後、マスクを外す動きはさらに加速するとみられ、同時に市場も急激にしぼんでいくのだろうか。マスクメーカーなど、236社が加盟する全国マスク工業会の横井昭会長は本紙の取材に「そんなすぐには変わることはないと思います」という見方を示した。

 そこには日本で独自に進化したマスク文化の存在がある。横井氏によると、1968年に発生した「香港風邪」が世界中で猛威を振るった際、各国で奨励された手洗い、うがい、マスクの感染対策がパンデミック収束後もエチケットとして根付いたのは日本だけ。日本は世界最大のマスク市場だという。

 そして今回の新型コロナで、日本ではマスク着用に際して感染防止以外に「紫外線対策」「小顔効果」「すっぴん隠し」といった新たな用途が誕生。夏場でも売れる冷感タイプの商品も開発され、マスクは風邪が流行する冬場の季節商品という概念も変わってきた。日本独自のマスク文化について横井氏は、世界各国の市場を見てきた経験から「欧米だけでなく中国にもない使われ方」と解説する。

 コロナの世界的な感染急拡大により、日本では100社以上がマスク業界に新規参入。日本衛生材料工業連合会の調べでは、コロナ以前の18年に比べ、21年のマスクの在庫数量は3倍増となった。この市場規模は縮小傾向にあるが、新文化の誕生などによりコロナ以前よりも大きくなった市場規模は今後も維持できると業界関係者は予測している。横井氏は「マスクは日用品雑貨。使用頻度は違いますが、トイレットペーパーや洗剤と同じ、どこの家庭にもあるものですから」と話した。

 世界的に広がる感染症は10~40年周期といわれている。次のパンデミックが発生した際、コロナの感染拡大時にマスクが店頭から消えた混乱が再び起こることが懸念されるが、生産、輸入、在庫量とも十分、緊急事態に対応可能だという。「1人で50枚入りの箱を何個も買うようなことがなければ大丈夫」と横井氏は冷静な対応を呼びかけている。

《ドラッグストアに変化なし》
 5類移行を目前にした7日、都内のドラッグストア各店でマスク売り場に変わった様子はなかった。陳列スペースを縮小するなどの動きはなく、ドラッグストア関係者は「各社これまで通りだと思う」とみている。別の関係者も「今のところ変えるつもりはない」と明かした。

 メーカーも製造を継続する。20年のコロナ流行直後のマスク不足を受け、新規生産に乗り出した家電大手「シャープ」の広報担当者は「社会貢献の一環と思いやってきた。今後も続けていく」との意向を示した。

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