高齢者に多い眼の病気「網膜静脈閉塞症」 静脈詰まって出血する前に、カレンダー代用セルフチェック!

2023年11月17日 05:00

社会

 芸能界一、健康に詳しいアナウンサー生島ヒロシ(72)が、シニアに向けて元気に生きる方法を指南する連載「誰も教えてくれなかった“老いるショック”脱出術 オヤジの処方箋」。今回は、高齢になると多くなる眼(め)の病気「網膜静脈閉塞症」についてです。
 皆さん、こんにちは、生島ヒロシです。先日、朝起きたら、どうも右眼の調子が悪くて。ゴロゴロしてるというか。鏡で見ても充血してはいなかったんです。そのままTBSに行って、ラジオ番組の前に新聞を読もうと思ったら、文字がよく見えないんです。白内障にも緑内障にもなっているので、大変なことになる前にと病院へ行きました。診断は「網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」。この網膜静脈閉塞症は高齢者に多いそうなので要注意。診察していただいた、南青山アイクリニック東京の医師で、慶大医学部眼科学教室専任講師の富田洋平先生に詳しく教えていただきましょう。

 富田先生、網膜静脈閉塞症とはどんな病気ですか?

 「眼にも動脈、静脈がありますが、静脈が詰まる病気です。大本の太い静脈が詰まるのを網膜中心静脈閉塞症、そこから枝分かれしていく細い末梢(まっしょう)が詰まるのを網膜静脈分枝閉塞症と言います」

 高齢者に多いとは、気になります。

 「高齢者で発症する方は網膜静脈分枝閉塞症が多く、生島さんもこのタイプでした。年齢とともに増えてきます。緑内障は40歳以上で約5%と言われていますが、網膜静脈閉塞症は40歳以上で約2%というデータがあります」

 原因は何でしょうか?

 「まず加齢が挙げられますが、血管の病気なので、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症など動脈硬化を引き起こす病気との関係が考えられます。喫煙の影響も指摘されています。眼を酷使することとは、あまり関係がありません。高血圧は特に注意が必要です」

 高血圧は要注意ですか。私は最高血圧が130を超えるぐらい。145を超えることもありますが、薬が必要とまでは言われていないのですが。

 「これまでは高血圧症が要注意と言われておりましたが、最近は130mmHg以上でも発症リスクが高いと言われています。ただ、網膜静脈閉塞症のことだけを考えて血圧を下げすぎると、脳に悪影響を及ぼすこともありうるので、血圧のコントロールはかかりつけ医(内科医)とよく相談してください」

 予防法はありますか?

 「まず血圧のコントロールです。網膜静脈閉塞症は血管が詰まって、出血してから気づくことが多いのが特徴です。日頃からのチェックが大事。眼の疾患のセルフチェック用で、マス目のシートの中心の黒丸を見つめるアムスラーチャートをご存じの方も多いと思います。セルフチェックはこのアムスラーチャートでなくても、身近なものでもできます。カレンダーです。月間カレンダーの真ん中の日付、15日前後が多いと思いますが、片側の眼でその日にちを見つめ、もう片側の眼は手で覆います。同じことを別の眼で。どこかの日付がゆがんでいたり、一部が欠けて見える場合は、眼科医に相談してください」

 カレンダーなら、職場にも家庭にもありますから、いつでも気軽にチェックできますね。

 「人間は基本的に両眼でものを見ています。片側の眼の視野が欠けていても、別の眼がそれを補うので、気づかないことが多い。片眼ずつチェックするのは、そのためです」

 治療法はどんなものがありますか?私の場合は注射をしていただきました。

 「黄斑浮腫が現れた場合、抗VEGF剤の硝子体注射があります。VEGFは、血流が詰まった網膜に、新生血管と言われる新しい血管を作ることを促す物質です。一見、新しい血管が生まれるのは良いことのように思えますが、この新生血管はもろいため破れやすく、出血を起こしやすい。この注射で新生血管が作られるのを防止します。短時間で済むので、注射は日帰りです。場合によってはレーザー治療が必要な場合もあります」

 このVEGFがくせ者なんですね。

 「新生血管が虹彩にできると眼圧が高くなり、緑内障になることもあります。結果的に失明につながる場合もあります」

 緑内障にも関係しているとは、放っておいたら大変です。人生100年時代。大事な眼を守るために、まずは血圧コントロールと“カレンダーチェック”から始めましょう。

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