政倫審“完全公開” 岸田首相、出席宣言も 野党攻勢呼び水「二階氏も来てもらわないと」
2024年02月29日 04:40
社会
1月の抜け駆け的な岸田派解散表明を思い起こさせる政倫審出席宣言。総裁として党をハンドリングできず、ゲリラ的手法でしか事態を動かせない実態を露呈したとも言える。
野党が出席を求めていたのは、派閥からの還流を政治資金収支報告書に記載しなかった衆院議員51人。首相は含まれておらず、自民党が応じたのは5人だけ。次期総選挙を見据え、弁明した方が得策などとして出席に前向きな議員もいるが、派閥幹部責任論が飛び出すことを警戒し“口封じ”。野党が強く求めた二階派会長の二階俊博元幹事長に至っては「何を言い出すか分からない」として事実上の二階氏隠しとした。
立憲民主党の安住淳国対委員長は記者団に、「自民党で5人に絞ったコントロールを破って自ら出てくる」などと指摘し、出席人数が広がる可能性に言及。出席は「どなたでも手を挙げられる」とした上で「5人以外の中堅・若手でしゃべりたい人たちの出席をふさがないでほしい」と注文を付けた。さらに、「二階氏にも来てもらわないといけない」と述べた。
局面打開のつもりが、野党に攻勢の糸口を与えた格好になった首相。5人で終わらせる出口戦略に水を差し、自らの首をさらに絞める事態に発展する可能性がありそうだ。
≪当初は完全非公開を希望≫与野党は衆院政倫審の幹事会で、29日と3月1日の開催を決定。29日は首相のほか、二階派事務総長の武田良太元総務相、3月1日は安倍派の4人が個別に審査に臨む。4人は座長を務めた塩谷立元文部科学相と、「5人組」で事務総長経験者の松野博一前官房長官、西村康稔前経済産業相、高木毅前国対委員長。5人は当初、完全非公開を希望していたが、首相に押し切られるように、いずれもテレビ中継を認め、全面公開で実施する。出席者は、それぞれ15分間趣旨弁明し、主要会派が1時間5分の質疑を行う。答弁が虚偽だったと分かっても証人喚問と異なり偽証罪に問われない。政倫審はこれまで9回開催。議員の出席は2006年2月以来18年ぶり。