トヨタ IOC最高位スポンサー契約終了へ 五輪の商業主義に一石 協賛金に見合った広告効果得られず
2024年05月25日 04:40
社会
なぜ契約を終了するのか。TOPからは17年、マクドナルドが撤退。外食産業の競争激化による収益悪化が原因と言われた。トヨタは今年2月、営業利益が過去最高になったと発表するなど順調だ。関係者は「東京五輪が新型コロナ下で強行されたことでスポンサーへの批判も多かった。汚職・談合事件による負のイメージもある。スポンサーはプラスになるのか、との考えではないか」と話した。
トヨタは東京大会中、世論への配慮から五輪用CMの放送を中止。豊田章男社長(現会長)の開会式参加も見送った。そんな中、選手村で運行した自動運転EVバスを選手が続々とSNSに投稿し大バズり。同関係者は「SNSの影響力に改めて気付いたことも大きかったと思う」と語った。
多様性の社会で、トヨタがパラリンピック支援により力を入れていることもある。実は今回、同時に期限を迎える国際パラリンピック委員会(IPC)とのTOP契約は延長を希望。ただIOCは、一方だけの継続はできないとしている。やはり巨額の契約料が必要なNFLスーパーボウルでのCMでも、トヨタはここ数年、パラアスリートが出演するCMを流している。
五輪の商業主義に一石を投じる形になりそうなトヨタの動き。拝金主義的なIOCの姿勢への反発は根強く、あるスポンサー企業幹部からは「協賛金はIOC幹部らのために使われているのではないか」との声も漏れる。協賛終了についてトヨタは「当社が公表したものではありません」とコメント。同じく最高位契約を結ぶパナソニックホールディングス(HD)、ブリヂストンの日本企業2社への影響も懸念される。
≪他の日本企業2社、契約継続を見極め≫パナソニックHDは今後について「契約上、当社からお答えすることはできない」とコメント。ブリヂストンは「今後の契約について現時点で決まったことはない」とした。関係者によれば、契約継続の是非を見極めているという。
≪五輪スポンサー「4形態」で契約≫五輪スポンサーの4形態は「最高位スポンサー」に続いて「プレミアムパートナー」「オフィシャルパートナー」「オフィシャルサポーター」がある。最高位スポンサーはIOCと契約を結ぶ。それ以外の3つは、開催国の各組織委員会との契約になる。契約期間は基本6年。契約によって、関連イベントや広告での大会エンブレムの使用方法、五輪関連映像の使用権、チケットの割り当てなど、細かな違いがある。