トヨタ IOC最高位スポンサー契約終了へ 五輪の商業主義に一石 協賛金に見合った広告効果得られず

2024年05月25日 04:40

社会

 トヨタ自動車が、国際オリンピック委員会(IOC)と結ぶ最高位スポンサー契約について、7月26日に開幕するパリ五輪を最後に終了する方向で調整していることが24日、分かった。2015年に結んだ契約を延長しない見通し。複数の関係者が明らかにした。
 五輪のスポンサーには現在4つの契約形態がある。その最高位スポンサーが「ワールドワイドパートナー」で通称「TOP」。1業種1社に限定され、パリ五輪では国際的な大企業15社が名を連ねる。TOPは世界で五輪マークを使用した商業活動ができる。トヨタは15年に、世界の自動車メーカーとして初めてTOP契約を結んだ。期間は10年。契約額は非公表だが、TOPは年間50億~100億円と言われている。10年間で最高1000億円だが、トヨタは2000億円払ったとの臆測もある。

 なぜ契約を終了するのか。TOPからは17年、マクドナルドが撤退。外食産業の競争激化による収益悪化が原因と言われた。トヨタは今年2月、営業利益が過去最高になったと発表するなど順調だ。関係者は「東京五輪が新型コロナ下で強行されたことでスポンサーへの批判も多かった。汚職・談合事件による負のイメージもある。スポンサーはプラスになるのか、との考えではないか」と話した。

 トヨタは東京大会中、世論への配慮から五輪用CMの放送を中止。豊田章男社長(現会長)の開会式参加も見送った。そんな中、選手村で運行した自動運転EVバスを選手が続々とSNSに投稿し大バズり。同関係者は「SNSの影響力に改めて気付いたことも大きかったと思う」と語った。

 多様性の社会で、トヨタがパラリンピック支援により力を入れていることもある。実は今回、同時に期限を迎える国際パラリンピック委員会(IPC)とのTOP契約は延長を希望。ただIOCは、一方だけの継続はできないとしている。やはり巨額の契約料が必要なNFLスーパーボウルでのCMでも、トヨタはここ数年、パラアスリートが出演するCMを流している。

 五輪の商業主義に一石を投じる形になりそうなトヨタの動き。拝金主義的なIOCの姿勢への反発は根強く、あるスポンサー企業幹部からは「協賛金はIOC幹部らのために使われているのではないか」との声も漏れる。協賛終了についてトヨタは「当社が公表したものではありません」とコメント。同じく最高位契約を結ぶパナソニックホールディングス(HD)、ブリヂストンの日本企業2社への影響も懸念される。

 ≪他の日本企業2社、契約継続を見極め≫パナソニックHDは今後について「契約上、当社からお答えすることはできない」とコメント。ブリヂストンは「今後の契約について現時点で決まったことはない」とした。関係者によれば、契約継続の是非を見極めているという。

 ≪五輪スポンサー「4形態」で契約≫五輪スポンサーの4形態は「最高位スポンサー」に続いて「プレミアムパートナー」「オフィシャルパートナー」「オフィシャルサポーター」がある。最高位スポンサーはIOCと契約を結ぶ。それ以外の3つは、開催国の各組織委員会との契約になる。契約期間は基本6年。契約によって、関連イベントや広告での大会エンブレムの使用方法、五輪関連映像の使用権、チケットの割り当てなど、細かな違いがある。

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