カメムシ注意報 平年の10倍超!!全国で大量発生 夏のフルーツが危ない

2024年05月26日 04:45

社会

 小さな体からイヤ~な臭いを放つカメムシにより、夏のデザート事情に危機が迫っている。モモやかんきつなどの果汁を吸う「果樹カメムシ類」が全国で大量発生中。21日までに25府県で、農作物への被害を警戒する注意報が発令された。吸われた実はスポンジ状になる、表面がデコボコするなどして販売不可能な状態に。みずみずしい夏のフルーツを守るため、農家は対応に追われている。
 カメムシは各地で少なくとも平年の10倍、神奈川県のある地域では192倍を観測。農林水産省は自治体と協力し「病害虫発生予察情報」として発生状況を発表しているが、5月末としては直近10年で最も多くなった。

 千葉県で例年500トン以上の出荷がある特産のビワ。特に露地栽培への被害が懸念され、10年ぶりに注意報が発令された。収穫の時期とも重なり、同県安房農業事務所の担当者は「どのくらい被害が出ているのか心配」と不安の声をもらした。

 なぜ、大量発生が起きたのか。兵庫県伊丹市昆虫館の長島聖大さん(44)によると、カメムシはスギやヒノキの実を食べ成長する。昨秋は通常の100~200倍の花粉量があり実が豊作だったため、個体数が増加。さらに暖冬の影響で多くが越冬し、春になってから餌を求めて果樹園に飛来しているという。

 対策としては適切な薬剤の散布、そして果実への袋がけが呼びかけられている。袋をかけていても、その上から吸われることもあり、従来より厚さのある袋を使う、かける袋を二重にするなど工夫。だが普段とは日の当たり方が異なるため、収穫時期の見極めが難しくなる。岡山県でモモを育てる「きびファーム美果美香」の管波秀紀さん(50)は「果実は繊細なので、その微調整も大変」と話した。

 ほかにも香川県でスモモやアンズ、栃木県でナシやリンゴなどへの被害が懸念されている。

 市場への流通量が減れば取引価格が高くなり、店頭価格が高騰する可能性もある。カメムシと農家の戦いはまだまだ続きそうだ。(小田切 葉月)

 ≪日常生活での対策、部屋の明かりをLEDライトに≫日常生活でのカメムシ対策はどうすればいいか。カメムシは日没後の1、2時間の間に活動が活発化する傾向があり、紫外線に反応して家の窓辺に集まることがある。長島さんは「部屋の照明を蛍光灯からLED照明に変更するのが効果的」と話している。LEDは蛍光灯に比べて紫外線量が約200分の1まで低減されている。また、部屋の光が漏れにくい遮光カーテンを使うこともお薦めだ。それでも家の中に入ってきてしまうことはある。一般的には、刺激しなければ臭いを出すことはないと言われる。カメムシ用の殺虫剤は効果的だが、品切れする店舗が続出中だ。防虫剤メーカー「フマキラー」は生活情報サイト「For your LIFE」で、ペットボトルを利用して捕獲する、粘着テープを利用する、などの方法を紹介している。逆に掃除機で吸うのは駄目な方法で、吸われた際に臭いを発しその後の排気で臭いを拡散させてしまうという。

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