自民党裏金事件 安倍派幹部の判断で還流再開 事務局長の松本淳一郎被告が証言 政倫審説明と食い違い

2024年06月19日 05:30

社会

自民党裏金事件 安倍派幹部の判断で還流再開 事務局長の松本淳一郎被告が証言 政倫審説明と食い違い
松本淳一郎被告 Photo By 共同
 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪に問われた安倍派事務局長で会計責任者の松本淳一郎被告(76)の第2回公判が18日、東京地裁であった。弁護側の被告人質問で2022年4月に一度中止となった所属議員側への販売ノルマ超過分の還流について、同年8月に開かれた協議で幹部議員4人が判断し再開が決まったと明らかにした。
 幹部協議の内容が公判で明らかになるのは初めて。幹部らは国会の政治倫理審査会で「協議で結論は出なかった」としており、改めて説明責任を問われるのは必至だ。

 協議の出席者は松本被告の他、当時ともに会長代理だった塩谷立氏と下村博文氏、事務総長の西村康稔氏、参院側会長の世耕弘成氏の4人。

 被告は協議について「同年7月末ごろに、ある幹部から『ある議員が還流してほしいと言っている』と再開を要求されたことから、塩谷氏に相談したことで開催された」と説明した。幹部の氏名は明らかにしなかったが、共同通信は「下村氏が再開を要求した」と派閥関係者が東京地検特捜部の事情聴取に供述したと報じている。下村氏は否定している。

 再開決定後には4人が手分けして所属議員側に伝達したと証言。被告は連絡を終えるのを待って還流を再開したと述べた。「独断で還流しますということは一切言えない」と強調した。

 また19年分を議員側に還流する際に「派閥の会長に説明し、ゴーサインを得てから作業を始めた」とした。当時の会長は細田博之氏=23年11月死去=だった。

 パーティー券の売り上げの一部について、議員側が派閥に納めずにプールしていたことは20年に気づいたと話した。新型コロナウイルス感染拡大から、会長の指示を受けて各議員のノルマを半額に変更したにもかかわらず、2年続けてノルマちょうどを売り上げた例があり、不自然さを感じたという。

 起訴状によると、18~22年分の政治団体「清和政策研究会」(安倍派)の政治資金収支報告書に、計約13億5千万円少なく記入したとしている。第3回公判は7月9日に開かれる。

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