前代未聞の都知事選が始まった 56人乱立、公約みだれ打ち“ポスターはみだら”!?
2024年06月21日 04:40
社会
50番目に届け出た無所属新人の小林弘氏(49)はクリアファイルにポスターを入れて貼り付けたが「曇ってしまい鮮明じゃない」と、2カ所目ではポスターをそのまま掲示板の右側に画びょう3個で固定。支援者は「風や雨でダメになってしまわないか心配。掲示板を増設してほしい」とポスターを見つめた。51番目の無所属新人、加藤健一郎氏(74)は「最初にハンディキャップをつけられたようなもの」としつつも「逆に目立つかもしれない」と話した。
候補者数が掲示板のキャパを超えた一因は、政治団体「NHKから国民を守る党」の大量擁立。団体への寄付者が自身で作製したポスターを掲示板に貼ることができるというシステムを立ち上げ、この日、公認候補の新人19人、推薦候補の新人5人の合計24人が届け出た。その結果、都内各所に、凹の字形にほぼ同じ図柄のポスターが24枚並ぶ異様な掲示板が出現。中野区内で「カワイイ私の政見放送を見てね」の文字が入ったポスターにジャックされた掲示板を見た70歳女性は「選挙が遊びに使われてしまうのは良くない」と困惑。32歳男性は「世も末。でも名前を売るという意味では戦略勝ちなのかも」と話した。
“ポスター狂騒曲”はこれだけにとどまらなかった。諸派新人の河合悠祐氏(43)は「表現の自由への規制はやめろ」などスローガンを載せ、自身の顔写真で乳首と股間を隠しただけの女性のヌードポスターを掲示。通学路の掲示板にも貼られており、杉並区議の小池めぐみ氏はSNSで「子供たちの目に入ったらと思ったら怒りが収まりません」と警察への連絡を訴えた。その後、警視庁は河合氏を呼び、都の迷惑防止条例違反の疑いで警告した。陣営はその後、ポスターの撤去を開始。初日から異例の事態が起こり、波乱の幕開けとなった。
▽亀井正貴弁護士 選挙ポスターは本来、自己の政策や考えを披歴する場。卑猥(わい)であったり、下品な内容を掲出することは本来の趣旨とは異なるが、選挙運動、政治活動の自由から明らかに法律違反だと断じることはできない。ただ、全裸に近い女性の姿を掲出しているものもある。小中学校の通学路にポスターの掲示板がある場合もあり、子供たちへの悪影響など考えるとこうした表現に怒りを覚える方もいると思う。だからといってポスターを傷つけたり、はがしたりするのは選挙の自由妨害罪に当たるので、注意しなければならない。