沿岸部宿泊施設 キャンセル殺到 書き入れ時直撃に悲鳴 南海トラフ地震の臨時情報発表 影響大きく…

2024年08月11日 05:30

社会

沿岸部宿泊施設 キャンセル殺到 書き入れ時直撃に悲鳴 南海トラフ地震の臨時情報発表 影響大きく…
宮崎市の青島海岸 Photo By 共同
 南海トラフ地震の臨時情報発表を受け、観光地では沿岸部を中心に宿泊施設の予約キャンセルが相次いでいる。夏の行楽シーズンを直撃したため、観光業の関係者からは「今が書き入れ時で、間違いなく大打撃だ」と悲鳴が上がる。
 高知市中心部の老舗旅館「三翠園」では、9日だけで約450人分の宿泊予約がキャンセルされた。大半の理由は「行くのが怖い」。鎌田和博専務は「気持ちも分かるが、厳しい状況だ」とうめく。最大33メートルの津波が想定される静岡県下田市では計550人分超、徳島県海陽町のホテルでも約90人分が取り消された。

 松山市の道後温泉周辺でもキャンセルが相次ぐ。旅館協同組合の奥村敏仁理事長によると、情報発表から1週間で少なくとも1000件規模となる見通しで「影響は長引きそうだ」。

 和歌山県白浜町は海水浴場の閉鎖や花火大会の中止を余儀なくされた。南紀白浜観光協会の山下滋己さんは「1年で観光客が一番多い時期なのに」と頭を抱える。県によると、町のあるホテルには「宿泊していいのか」といった電話が殺到、キャンセルは約350件に上った。

 海水浴場の閉鎖や遊泳禁止は白浜町のほか、静岡県西伊豆町、三重県紀北町など広範にわたる。全国的に知られる宮崎市・青島のビーチも遊泳禁止となったものの、波打ち際で子どもを遊ばせる人の姿が見られた。坂本龍馬像のある高知市の桂浜では、警備員が砂浜に入らないよう呼びかけていた。

 震度5強を観測した鹿児島県大崎町の海沿いにあるキャンプ場。営業を続ける一方、キャンセルの連絡や問い合わせが相次いでいる。管理人の堀之内裕行さんは「地名だけで被害に遭っていると思われているようだ。過剰に恐れず、正しい情報を得てほしい」と話した。

 世界遺産・熊野古道の展示がある三重県尾鷲市の県立熊野古道センターは高台にあるものの、15日まで休館。海に近く「周辺道路の浸水が予測されるため」(担当者)で、市消防に提出した計画では臨時情報発表時に休館するとしていた。

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