必要なのは腕力やクソ力――競泳のエース池江璃花子の才能とは?
2017年05月01日 11:00
競泳
広辞苑には「才知と能力。ある個人の一定の素質。または訓練によって得られた能力」とある。素質が「個人が生まれつき持っていて、性格や能力などのもととなる心的傾向」だから、やはり持って生まれたものではあるのだろうけど、心的傾向ならば、やはり、最終的には努力によって得られる能力なのか。「努力ができる才能」とは、よく聞く言葉だ。
だとすると、地元開催の大会は、努力に向かう心的傾向を大いに刺激するとも言えるだろう。と、そこまで考えて、伊集院静氏の小説「いねむり先生」にある会話を思い出した。冒頭のボクは小説を書くことをやめてしまった伊集院氏、Iさんはミュージシャンの井上陽水氏だと思われる。
「ボクはやめました。(略)才能がまるっきりありません」
「才能なんて必要なのかな」
Iさんは言って首をかしげた。
「一番大事なところじゃないんですかね」
「そうかな…。ボクはそうは思わないな。必要なのは腕力やクソ力じゃないのかな」
池江選手は、16年のリオデジャネイロ五輪で7種目に出場した。今年7月の世界選手権には、リレーを含めて10種目に出場する可能性もあるという。リオ五輪では届かなかったメダルを狙うのなら、種目を絞るのが賢明な気もするが、将来はさらに増やして個人メドレーにも挑戦する意向があるという。
しかも、「(10種目は)めったに出られるものじゃない。気分転換にもなる。すごく楽しみ」と話したというから、もう前に進むことしか考えていない。「腕力」「クソ力」を地で行く池江選手の姿勢は、まさに、Iさんの言葉が当てはまるようだ。
まあ実際のところは、生まれ持った才能の違いは、あるのだろうが、腕力やクソ力も見ていてすがすがしい。理論を重視し、科学的に分析する姿勢はもちろん大切だが、地元開催の五輪なら、なおさら、それを超越する選手も見てみたい。
大リーグ・ヤンキースの元名捕手、ヨギ・ベラ氏は、数々の迷言で知られ、その言葉は「ヨギイズム」と呼ばれた。その中に、こんなのがある。
野球の90%は精神力、あと半分は体力だ。
◆鈴木 誠治(すずき・せいじ) 1966年、浜松市生まれ。伊集院氏と同じ立教大卒。「いねむり先生」は小説家の色川武大氏のことで、阿佐田哲也名義のものも含めて、色川氏の小説を物色中。
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