球場内を116周!前代未聞のフルマラソンに見る人間の心理
2017年09月18日 10:00
マラソン
走ることで基金を設立し、いろいろな奉仕活動にも従事。そして自身で会社を立ち上げてレースを企画し、ボストン・マラソンの運営には欠かせない人物になった。
実はフェンウェイ・パーク内をフィニッシュにしたレースには同氏自身が参加している。1978年にはワシントン州シアトルにあるマリナーズの本拠地、キングドームからフェンウェイ・パークまでの米国横断レースを完走。「その時、ひらめいたんだ。球場の中に入ってくるのではなくて、球場の中をずっと走ってみるのはどうだろう…とね」と今回のレースの原型のようなアイデアが浮かんだのだそうだ。
116周レースには50人が参加。降りしきる雨の中で優勝したのは、7大陸で7つのフルマラソンを7日間で走る「ワールド・マラソン・チャレンジ」を走破しているマイケル・ウォーディアンさん(43歳=米国)で、タイムは2時間53秒52秒。狭い周回コースとしては驚異的なタイムだと思うのだが、全国のジョガーの皆さんはどう思うだろうか?
走路がことのほか狭いために参加者は50人のみ。しかしウルトラ・マラソン系の選手が多かったようで、どのランナーもとにかくタフだった。同じく「ワールド・マラソン・チャレンジ」を完走しているベッカ・ピッチさん(37歳=米国)は「iPodにスイート・キャロライン(レッドソックスの試合で8回表が終ったあとに流される曲)を入れておいたわ」と笑っていたが、いやいや、その程度で気がまぎれるなんて信じられない。
私は50代になってフルマラソンを4回走った。もともと長距離は得意ではないので、とにかく苦しかった。音楽はもちろん心の支え。しかし30キロを過ぎると、大音量で流れているはずの音楽が聞こえなくなるのだ。
疲れもさることながら、走ったレース(東京&北九州)の30キロすぎは、ともに同じ道を行って折り返して戻ってくるコース設定。目に入ってくる光景が違っているからこそ気がまぎれるのだが、折り返す直前になると「また同じ景色かよ」と憂うつな気分になる。だからスイート・キャロライン(ニール・ダイアモンド)であっても、スイートメモリーズ(松田聖子)であっても、精神状態が乱れているために“サウンド・オブ・サイレンス化”してしまうのだ。
マギリブレイ氏は大リーグの各球場で今回のレースをシリーズ化することを検討中。AP通信は「ワールドシリーズ・オブ・スタジアム・ランナーズ」と銘打っている。
しかし間違いなく、どこもかしこも100周以上だろう。ボストン・マラソンは折り返し地点なしの一直線コースなのに、その対極に位置するかのようなレース。1位でフィニッシュしたウォーディアンさんはよくも目が回らなかったな、と感心しきりである。なので、メンタルとフィジカルに自信がある方だけチャレンジしてください。
ただし、荷物は預けたところでもらえるだろうし、たぶん1カ所だったはずの給水地点はすぐにやってくるし、ロッカールームにあるシャワーは使わせてもらえるかもしれないし、売店が開いていればレース後、すぐにビールが飲めるかもしれないし、それなりの楽しみとメリットはあるかも。
でも私は遠慮しときます。プロジェクション・マッピングでスタンドに様々な風景を照らしだしてくれれば気がまぎれますけどね。おっと、実行委員長、どうでしょう、このアイデア?スイート・キャロラインよりはいいかと思われますが…。(専門委員)
◆高柳 昌弥(たかやなぎ・まさや)1958年、北九州市小倉北区出身。上智大卒。ゴルフ、プロ野球、五輪、NFL、NBAなどを担当。スーパーボウルや、マイケル・ジョーダン全盛時のNBAファイナルなどを取材。50歳以上のシニア・バスケの全国大会に6年連続で出場。
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