30年前の中国スポーツ界で何が行われていたのか。ぜひ解明を
2017年10月28日 10:00
スポーツ
当然、「国家ぐるみの違反ではないか」と指摘されたが、中国側はあくまでも「個人的な違反だ」と主張し続けた。当時はまだWADAは創設されておらず、現在のように独立した機関が調査することは不可能で、結局国家ぐるみの薬物使用にメスが入れられることはなかった。
それから20年以上がたち、ドーピングを取り巻く環境は大きく変わった。技術の進歩でかつては検出できなかった薬物も過去にさかのぼって検出できるようになり、多くの選手のメダルが剥奪された。遅きに失した感は否めないが、それでも本当に当時の中国スポーツ界で何が起こっていたのかが明らかになるのなら、今回の医師の勇気ある告発は大きな価値がある。当の中国は翌95年にドーピング禁止に関する国内規定を制定。選手や指導者の意識改革に乗り出し、疑惑の払拭に努めてきた。その取り組みが正しかったという自信があるのなら、積極的に今回の調査に協力すべきだろう。
今さら昔のことをほじくり返しても仕方がないという声もあるかもしれないが、同じ時代に中国選手と戦った日本や他国の選手にとっては「昔の話」では済まされない。今後のWADAによる調査でどんな新しい事実が判明するのか、当時最前線で取材していた記者の一人として固唾(かたず)をのんで見守りたい。(編集委員)
◆藤山 健二(ふじやま・けんじ)1960年、埼玉県生まれ。早大卒。スポーツ記者歴34年。五輪取材は夏冬合わせて7度、世界陸上やゴルフのマスターズ、全英オープンなど、ほとんどの競技を網羅。ミステリー大好きで、趣味が高じて「富士山の身代金」(95年刊)など自分で執筆も。
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