最高の一戦が不可解判定で明暗…アジア大会柔道男子73キロ級決勝 誤審を防ぐためのチェック機能が逆に…
2018年09月02日 21:55
柔道
試合は規定の4分間で決まらず、ゴールデンスコア(GS)の延長戦に。GS6分52秒、大野の大外刈りから内股への連絡技で、2人はもつれ合うように転がった。この時は誰もが、試合が再開されたことに違和感を持たなかった。ところが同7分9秒、待ての合図で試合が止まる。数十秒の沈黙の後、審判は大野の技を「技あり」と宣告し、熱戦に終止符が打たれた。
井上監督はあくまで日本の監督。その任務は日本の選手を勝たせることだ。相手を慮る必要はないのだが、1人の柔道家として、冒頭のような発言になったのだろう。私を含め、プレス席の日本メディアも大半が「なぜ、あれが技ありなのか」と疑問を抱いた。安は背中はもちろん、うつ伏せに近い形で横倒しにされており、技ありの範囲が広がった新ルールにおいても、ポイントなしが妥当だったように思う。大野本人も「審判に助けられた思いはありますけど」と振り返っており、ノーポイントでも致し方なしと捉えていたほどだ。
あらゆる競技で誤審は発生し、科学や情報技術を駆使して撲滅への努力が続けられている。しかし今回は畳の上の審判が一旦はノーポイント判定したものを、ジュリーが映像を見返した上で技ありに変更している。誤審を防ぐためのチェック機能が、逆に不可解な判定を生んだという点で、問題の根は非常に深い。
指導が出るタイミングの遅さや、技判定のあいまいさなど、同じ競技規則に則りながらも、アジア大会は他の国際大会とは様相が違った。井上監督も「大げさかも知れないが、何か種目が違うような」とまで論評。全日本柔道連盟の山田利彦強化副委員長も「普段の国際大会で裁いている審判がいない」と指摘しており、大会組織委やアジア連盟が独自に招集した審判員が、国際基準を理解していなかった可能性が高い。
言うまでもなく、スポーツ競技はルールによって公正性が担保される。そのルールが大会ごとに揺らぐようでは、競技の発展は望めない。努力が水泡に帰し、選手生命が狂わされることすらある。立場を超越した井上監督の発言は、柔道の発展を願うからこそのもの。その思いに、柔道界全体が応えなければならない。(阿部 令)
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