貴ノ岩 元日馬への提訴取り下げ 母国で想像超えるバッシング

2018年10月31日 05:30

相撲

貴ノ岩 元日馬への提訴取り下げ 母国で想像超えるバッシング
稽古を再開した貴ノ岩(左)は胸を出す貴公俊にぶつかる        Photo By スポニチ
 元横綱・日馬富士の暴行事件を巡り、被害者の幕内・貴ノ岩(28=千賀ノ浦部屋)が慰謝料など約2413万円の損害賠償を求めた民事訴訟で、貴ノ岩側が30日、急きょ提訴を取り下げた。理由について文書で「裁判を起こしてから、母国モンゴルでは私に対する想像を超える強烈なバッシングが始まり、私の家族もモンゴルで非常につらい目に遭った」などと説明した。
 今月4日、貴ノ岩の代理人弁護士が会見し、治療費や懸賞金などの請求を公表。その後、母国で非難を浴び、家族から「耐えられない。もう、裁判をやめてくれ」と訴えられたという。これにより、治療費も自ら負担することになる。同日、福岡市内で取材に応じた貴ノ岩は、「発表した通りです」と話し、結果に納得しているか問われ、「はい」と答えた。

 元日馬富士は昨年11月、事件の責任を取り現役を引退。同年末に日馬富士側から示談の申し入れがあり、今年3月に交渉を始めたが、金額が折り合わずに決裂。8月に東京簡裁に民事調停を申し立てたが、9月26日の調停を日馬富士側が欠席して不調に終わり、提訴に踏み切っていた。

 貴ノ岩はこの日早朝、師匠の千賀ノ浦親方(元小結・隆三杉)に提訴の取り下げを報告。その後、千賀ノ浦部屋に移籍して初めて、九州場所(11月11日初日、福岡国際センター)に向けて稽古を再開した。時折笑顔も見せ、「自分たちは相撲を一生懸命取るだけしかない」と前向きに話した。 

 ▽元日馬富士暴行事件 昨年10月26日未明、鳥取市内の飲食店で横綱・日馬富士が貴ノ岩をカラオケのリモコンなどで殴打し、約12日間のケガをさせた。前頭9枚目だった貴ノ岩は頭部を負傷。2場所連続休場に追い込まれ、十両12枚目まで番付を落とした。事件を巡っては、内閣府に提出した告発状(後に取り下げ)の内容が事実無根と認めるよう日本相撲協会の役員から求められたことを理由に、貴ノ岩の師匠だった貴乃花親方(元横綱)が協会を退職している。

 ▼佐藤歳二弁護士(貴ノ岩の代理人弁護士)身内に迷惑を掛けるよりは、自分が損害をかぶった方がモンゴル国内で納得してもらえるだろうということ。病院も有名人だから個室に入っていたので、本人の出費だけでも四百数十万かかっている。結果的に泣き寝入りのような形になり、法律家として非常に残念です。

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