沙保里 引退、36歳“霊長類最強女子”東京五輪前に決断 10日会見
2019年01月09日 05:30
レスリング
日本選手団主将を務め、「レスリング人生の集大成」と臨んだリオ五輪53キロ級決勝で涙の敗戦。14年3月に亡くなった父・栄勝さんとの約束だった五輪4連覇を逃した。栄勝さんからは「ボロボロになるまで続けるな。王者のまま引退しろ」との教えを受けており、リオで負けたまま即座に引退を決断することはなかった。
女子代表や至学館大でコーチとして後進の指導にあたったが、活動の中心はテレビやイベント出演。豊富な練習量で自身を鍛えることが難しくなっていた。東京五輪出場を明言せず、代表選考がスタートした昨年12月の全日本選手権も欠場。メダルを獲れば五輪代表に決まる今年9月の世界選手権(カザフスタン)代表に選ばれるには、6月の全日本選抜がラストチャンスで、進退の結論を迫られていた。
3歳でレスリングを始め、栄勝さんが自宅につくった道場で武器の高速タックルを磨いた。女子レスリングが五輪種目に採用された04年アテネ大会からは3連覇。外国勢に研究されるとタックルのパターンを増やし、個人戦では01年からリオ五輪の準決勝まで驚異の206連勝。「霊長類最強の男」アレクサンドル・カレリン(ロシア)を超える16大会連続世界一で「霊長類最強女子」と呼ばれ、12年には女子スポーツ界では3例目となる国民栄誉賞を受賞した。
明るく、サービス精神旺盛なキャラクターで積極的にメディアに登場し、国民的人気者となった。認知度が高まった女子レスリングは競技人口が増え、17年にはインターハイの正式種目入り。栄勝さんが開いたジュニア教室や吉田の母校・至学館大からは“後継者”も続々と現れている。マイナーだった競技の普及や隆盛に計り知れない功績を残し、東京を前にマットを去る。
◆吉田 沙保里(よしだ・さおり)1982年(昭57)10月5日生まれ、三重県出身の36歳。「沙保里」は母・幸代さんがファンだったという南沙織に、82年当時のアイドル・河合奈保子の文字を組み合わせた。三重・久居高―中京女子大(現至学館大)出。全日本王者の父・栄勝さんの影響で3歳からレスリングを開始。五輪3大会を含め、15年世界選手権まで世界大会16連覇。16年リオ五輪は銀メダル。01〜08年に119連勝をマーク。12年に五輪、世界選手権を合わせ、史上初の13大会連続「世界一」でギネス世界記録に認定され、国民栄誉賞を授与された。1メートル57。主戦場は55キロ級だった。
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