報道陣からも逃げなかった稀勢 子どもたちに伝えてくれた「全力で過ごす」

2019年01月17日 09:30

相撲

報道陣からも逃げなかった稀勢 子どもたちに伝えてくれた「全力で過ごす」
引退会見であいさつする稀勢の里(撮影・村上 大輔) Photo By スポニチ
 【横綱・稀勢の里引退 】 相撲に真っすぐなゆえに、取っつきにくいイメージのある稀勢の里だが、大事な局面ではきちんと取材に応じてくれる。九州場所後の横綱審議委員会で「激励」を審議され、冬巡業は全休。状態を知りたい記者は田子ノ浦部屋に足を運んだ。稽古は非公開も、“出待ち”している報道陣に「良かったです。体を動かさないと」と話すなど、苦境であるにもかかわらず記者をないがしろにしなかった。この日の会見では土俵人生で貫いてきた信念について「絶対逃げない。その気持ち」と話した。報道陣が相手でも逃げなかった。
 ただ、顔が知られるまでは苦労させられた。記者が相撲担当に戻ったのは16年4月。同年6月に香川県観音寺市の田子ノ浦部屋合宿に足を運び、子供向けの新聞の取材を依頼したが、なかなかOKを出してもらえなかった。それでも粘り続けた記者に対し、合宿最終日に時間をつくってくれた。そこで色紙に書いてもらったメッセージは「全力で過ごす」だった。どんな分野でも全力で過ごせば結果はついてくることを子供たちに伝えてくれた。稀勢の里はその7カ月後、初優勝と横綱昇進を果たした。やはり全力で生きた男の最高の舞台を取材できたのは、記者冥利(みょうり)に尽きる。 (相撲担当・佐藤博之 1997〜2000、02、16〜19年担当、スポーツ部専門委員)

おすすめテーマ

2019年01月17日のニュース

特集

スポーツのランキング

【楽天】オススメアイテム