“関取最年長”安美錦引退…古傷の右膝を傷めて決断
2019年07月17日 05:30
相撲
「最初は治療して、もう一回と思っていたけど。今回は初めて今後のことを考えた。またケガしたら、どうするんだろうと。勝負師として一線を引く時かなと思った」
両膝や左アキレス腱断裂など度重なるケガを乗り越えた不屈の男が、心に生じた迷いを悟った。「勝ち越しが消えて、気持ちも消えた。未練はない」。今場所2日目に負傷した右膝は、まだ25歳だった04年に同じ名古屋場所で前十字じん帯断裂など重傷を負った古傷だ。「“最後はまた、おまえにやられるのか”という感じ。いい相棒だった」。約23年間のプロ生活で、いじめ抜いた体をいたわった。ともに平成を盛り上げた魁皇、若の里も現役最後の土俵は名古屋場所。今場所初日に敗れた後に安美錦が口にした「名古屋は超えられないんだよ」の言葉が現実になった。
力士の大型化でパワー重視の傾向が強まる中で多くのライバルから「やりにくい相手」と評される確かな技術で対抗。03年初場所8日目には横綱・貴乃花を破り、貴乃花の現役最後の相手でもあった。自身の現役最後の相手は関取最年少21歳の新十両・竜虎(りゅうこう)で「若い子に“頑張ってくれよ”という気持ちはある。バトンタッチできて良かった」とすがすがしい表情だった。
師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)に引退を申し出たのは14日。だが、ここ2日間も稽古場で体を動かした。厳しい勝負の世界に生きる同僚力士への配慮と同時に後進の指導に当たるためのリハビリだ。「早く(稽古で)胸を出したい」。既に第二の人生へスタートを切っている。
▼伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)本人がここまでやって納得していれば受け入れるしかない。ケガと向き合い、相撲を取ることを考えて筋トレで治す努力を一つ一つやってきた。誇らしい、頑張った弟子です。(安美錦の師匠)
◇安美錦記録メモ
▽通算出場 史上3位の1805回。
▽通算勝利 史上8位の907勝。
▽通算黒星 史上4位の908敗。
▽幕内在位 史上3位タイの97場所。
▽幕内出場 史上4位の1399回。
▽関取在位 117場所(幕内97場所、十両20場所)は魁皇と並んで史上1位タイ。
▽高齢再入幕 史上1位の39歳6カ月(18年夏場所番付発表時)
▽決まり手 初土俵から45の決まり手で勝った。「技のデパート・モンゴル支店」と呼ばれた旭鷲山の46に匹敵する多さ。
◆安美錦 竜児(本名=杉野森 竜児)1978年(昭53)10月3日生まれ、青森県西津軽郡深浦町出身の40歳。鰺ケ沢高卒。97年初場所初土俵。00年初場所新十両。同年名古屋場所新入幕。07年秋場所新関脇。殊勲賞4回、敢闘賞2回、技能賞6回。金星8個。得意は右四つ、寄り、押し、出し投げ。1メートル84、149キロ。家族は絵莉夫人、長女、次女、長男。
おすすめテーマ
スポーツの2019年07月17日のニュース
特集
スポーツのランキング
-
荒磯親方 高安休場に「本当に残念」も「いい判断」
-
リーチ、松島ら31人選出 PNCラグビー日本代表
-
高安休場 診断書は「左肘関節内側側副じん帯断裂」
-
高安休場 田子ノ浦親方「力が出ない状況」 取組編成にも大きな影響
-
アポロ11号の月面着陸から50年 半世紀前に経験したそれぞれの1日 そして学んだもの
-
高安休場 不戦勝の白鵬 大関不在に「なんとも言えない」
-
大関・高安が休場 異例の4大関全員不在
-
渡辺一平に宿るレジェンドのDNA 小2から磨いた林亨の水つかむ技術
-
渡辺一平、高校で“世界”意識 3年続けた「水泳ノート」
-
【荒磯親方の真眼】友風、相手の体を浮かす腰の使い方が抜群
-
荒井祭里、東京五輪女子1号!代名詞“ノー・スプラッシュ”でいざ祭典へ
-
金戸、右肩負傷で代表持ち越し 9月アジア杯で代表内定目指す
-
日本、メダル逃して4位 井村HC巻き返し期待「諦めるわけにはいかない」
-
“関取最年長”安美錦引退…古傷の右膝を傷めて決断
-
照強 安美錦の言葉に「こみ上げてくるものがあった」
-
高安、左肘問題なく回復傾向 終盤戦へ「自分らしい相撲を取りたい」
-
鶴竜、無敗の10連勝 安美錦の引退に「ある意味、壁だった」
-
白鵬、1敗守る 引退する安美錦へ「技能派力士を育ててもらいたい」
-
友風、実力の違いを見せて8勝目「本来の自分の相撲が取れている」
-
張本、“同世代”望月を尊敬「刺激を受けて上を目指したい」
-
ラグビー代表、国内最大の「さざれ石」見学へ
-
ボニー、W杯までに代表資格取得できず…「非常に残念」
-
サーフィン代表、公式ウエア発表 “勝ち色”と波のうねりを示すデザイン
-
NBAサマーL、グリズリーズ優勝 八村が“準ベスト5”に選出
-
渡嘉敷、代表戦のブランク感じさせない「プレーでも声でも引っ張っていきたい」
-
上野、女子ジャパンカップ代表入りへ 宇津木監督「1カ月以上時間はあるから出られると思う」
-
松山、メジャー初Vへリラックス調整 修正ポイント確認
-
園田、アーチェリー東京五輪テスト大会で3回戦進出「2回戦は緊張せずに挑めた」
-
ウルフ、世界選手権へ「リードされないことを突き詰めたい」 柔道GPから帰国
-
橋岡、世界選手権へタフさを身に付ける「ちょっとのことで動揺しなくなった」
-
山田ら全勝で本戦進出 フェンシング世界選手権
-
望月、世界ランク1位「Wow!」 ウィンブルドン・ジュニアV
-
ZOZOチャンピオンシップ、23日から観戦チケット販売