データで見る八村の13戦目 デローザンに狙われた?右への動き 出遅れる右のつま先
2019年11月21日 13:21
バスケット
明らかに“偶然”ではないと思う。最初の反則は八村が相手のスクリーンに対してスイッチ・アップして犯したものだが、ペイントエリアの左サイドをタテに突破した瞬間のデローザンの左足のつま先は、守っていた八村の右足のつま先の20センチ前にあった。つまりこの時点でよりリングに近いというエリア的なアドバンテージを得ていたのはデローザン。そしてこの瞬間、彼はあることを感じ取ったのではないだろうか?
それは203センチの八村が右側に移動するときの第1歩が、わずかに遅れるということ。そして2度目の反則がコールされた際、デローザンの意図はより明確になっていた。
ここではスイッチしたあと完全にデローザンと八村の1対1となった。おそらくそれを狙ってのスパーズ側のスクリーンだったと思う。するとデローザンは数歩後ろに下がって八村との間により大きなスペースを作り、それを利用して加速。ドリブルでの“進路”は再び八村にとっての右側となった。
フリースロー・ライン付近でデローザンはポンプ・フェイク。見事にひっかかってしまった八村はひと足早くジャンプしてしまい接触して2つ目の反則をコールされる。たぶん経験を重ねたディフェンダーならば、デローザンが下がった段階で加速用のスペースをつぶすか、ポンプフェイクを想定して“すり足”だけの守りのどちらかを選択するはずだが、ルーキーにとってはその方法論を考える余裕はなかったのだろう。右に動かされた時点であせりもあったように思う。
第3Q開始早々の3つ目の反則も、最初にデローザンをマークしていたのはトロイ・ブラウンJR(20)だった。しかしスパーズはまた罠?を仕掛ける。センターのヤコブ・パートル(24)がブラウンJRを排除するために“壁”となり、またしてもデローザン対八村の1対1となった。
場所は右サイド。八村と正対したデローザンはまたポンプフェイク。ここでも八村はわずかながら飛び上がってしまった。「後ろ足」となっていた右足が「前足」となっていた左足より先にコートを離れているので、重心と姿勢は前のめり。そしてこの瞬間を見逃さなかったデローザンは体を左にひねって右肩を空間にねじこみ八村の落下を待った。これはロケッツのジェームズ・ハーデン(30)が反則を誘うときの常とう手段。八村にとってはなぜそうなるかわからなかったかもしれないが、相手との間にあるスペースを前後左右で微妙に変えながら、自分の体の動きに相手をシンクロさせずにズレを作る技術は、NBAに君臨するスター選手たちの生命線でもある。
4つ目の反則は印象的だった。ブラドリー・ビール(26)がデローザンをマークしていると判断したスパーズのルディー・ゲイ(33)がスクリーンに入って八村はまたスイッチさせられた…と言ってもいいだろう。
場所はフリースロー・ラインの右サイド。通称エルボーと言われるエリアだった。
デローザンはレッグスルーのドリブルを2回試みたあと、またしても八村にとっての右側を突く。しかも3回目のドリブルでのボールの着地点は八村の目の前。ハーデンがドライブインの際に故意にボールを持った両手を前方に差し出して相手選手に接触させやすくさせるように、これはデローザン流のトラップだったかもしれない。
ここでも八村の右足を後ろに引く動作は遅れている。(デローザンの動きについていけないのは彼1人ではないけれども)。しかも目の前にボールがあるとつい手が出てしまう。この瞬間をデローザンは待っていたはず。ボールをすぐに引き寄せると巧みに八村の右手を接触させて4つ目の反則を誘発させた。
デローザンも八村同様、ドラフトでは全体9番目(2009年)に指名された選手。ただし八村はこの日がプロ13戦目だったのに対し、デローザンはすでにプレーオフを含めて824試合を経験している。
表現は悪いかもしれないが、NBAが74年の歳月をかけて仕込んできた“だましのテクニック”をデローザンが知らないはずはない。八村にとっては毎試合が訓練であり勉強だとは思うが、負けたとは言えスパーズの背番号10は多くのことを教えてくれたはず。学ぶべき技術はコートの上にまだあふれるほどあると思う。(高柳 昌弥)
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