畑岡奈紗の未来予想図――25歳までに海外メジャー制覇、30歳で“大きな転機”予感
2020年05月04日 05:30
ゴルフ
「練習も、なかなか普段通りにはできていない。試合に戻った時には3日連続、4日連続になったりする。やっぱり試合勘が一番心配かなと思います」
それでも自粛ムードの中で工夫を凝らし、感覚を研ぎ澄ませている。
「パターの練習では自宅でレンガの幅に当て真っすぐ返すとか。コースに行けた時にはスピードコントロールとか練習します」
最近は料理にも精力的にチャレンジしている。
「この間、ロールキャベツつくりました。意外と大丈夫でした」
1月で21歳になった。17歳で日本女子オープンを制してから4年。既に日米で8勝を挙げた。
「正直、たくさん勝たせてもらっているので、思っていたよりはこの年齢だったら勝てた方かな。ジュニアの時は想像できていなかった」
幼稚園の頃は幼稚園の先生に憧れた。女子ゴルファーを意識したのは中学の頃。卒業文集に「女子ゴルファー」と書いたが「現実的な話でなかったので、文集書くときに躊躇(ちゅうちょ)して書いたのを覚えています。なれなくて文集に残っちゃうのも嫌だな、と」と笑う。1年延期となった東京五輪は22歳で迎える。母国開催。金メダルへの思いは変わらない。
「2020年東京五輪というのはずっと頭にあったので、1年延期になってしまったのは残念ですけど。でも中止になったわけではないので。逆に、またこの1年でしっかりと準備していきたいと思いました」
21歳には無限の可能性が広がる。25歳までに達成しておきたいことを問われると、こう断言した。
「やっぱり、メジャーで勝ちたいですね。自分に向いているのはアメリカのコース。エビアンとか全英も頑張りますけど、一番は全米女子オープンと思います」
25歳までに海外メジャー制覇を達成。5年後の30歳は人間としてもアスリートとしても大きな転機となると予感している。
「女子だと、30歳ぐらいまでしっかり集中してゴルフして、それを境に結婚したり引退する選手は多いかな。私も何となくですけど、それを感じて思ったりします。30歳まではゴルフに集中してって感じですかね」
ツアー72勝のアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)は38歳で、ロレーナ・オチョア(メキシコ)は世界1位だった10年に28歳で引退した。さまざまなプロ人生を歩む選手がいる中、畑岡は米ツアーで完全燃焼したい思いも抱く。
「アニカとかロレーナみたいに、世界一だけど、これ以上ベストを出せないとかなったら、スパッとやめるのも格好良いかな。米国で終えるという選択肢もあるけど、今はやめることは考えず勝つことに集中したい」
視界良好の未来へ。畑岡は心静かにツアー再開の時を待っている。
《外出自粛も…アポロがNASA癒やす》日本全国に外出自粛要請が出される中、畑岡の癒やしとなっているのが愛犬のステラとアポロとの時間だ。5月21日にはアポロが1歳の誕生日を迎えるそうで、「去年は渡米して(日本に)いなかったので、アポロ君の1歳の誕生日はお祝いしたい」と笑みを浮かべる。米ツアーを主戦場とする畑岡にとっては、これだけ長い時間を家族全員で過ごすことも久しぶり。「家族4人でこれだけ長くずっと一緒に家にいるのが小学生ぶりとかくらい。家族の時間がつくれているのは良かったのかな」と前向きに語った。
《憧れの宮里藍は米ツアー9勝 32歳で引退》これまで多くの日本人選手が米ツアーに挑んできた。畑岡が憧れる宮里藍は21歳で米ツアーに参戦し、9勝をマーク。5勝を挙げた10年には世界ランク1位にも輝き、32歳だった17年のエビアン選手権(32位)を最後に引退した。
岡本綾子は30歳だった81年に米ツアーに本格参戦し、メジャー勝利には届かなかったが通算17勝をマークした。87年には米ツアー賞金王に輝くなど活躍。最後の優勝は48歳だった99年、国内ツアーのカトキチ・クイーンズだった。
昨夏には20歳の渋野日向子がAIG全英女子オープンを制したが、長い間、日本勢の前にはメジャーの壁が立ちはだかった。これまで米本土でのメジャーに勝ったのは、77年の全米女子プロ選手権を制した樋口久子しかいない。
《中断中の米女子ツアー 7月中旬に再開目指す》2月でシーズンが中断している米女子ツアーは、7月中旬の再開を目指している。米女子プロゴルフ協会(LPGA)は4月上旬に6月の再開を目指したが、新型コロナウイルス感染拡大の終息が見通せない状況下でさらに再開を1カ月遅らせる決断を下した。LPGAが4月29日に発表した新日程では7月15~18日のダウグレートレークスベイ招待(ミシガン州)で再開。最終戦のCMEツアー選手権(フロリダ州)は12月17~20日に開催の予定となっている。
◆畑岡 奈紗(はたおか・なさ)1999年(平11)1月13日生まれ、茨城県笠間市出身の21歳。11歳でゴルフを始め、16年の日本女子オープンで史上最年少優勝。同年プロ転向し、翌17年に米ツアーに参戦。18年のアーカンソー選手権で米ツアー初優勝。同年のTOTOジャパンクラシック、19年の起亜クラシックも優勝した。日米通算8勝。家族は両親と妹。1メートル58。
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