【ボッチャ】リモートで“つながる”メダルへの道 広瀬「進化した姿をお見せしたい」
2020年08月24日 05:30
五輪
呼吸機能に問題を抱える選手の肺年齢は平均80歳以上。脳性まひでぜんそくが持病の広瀬は「私は90歳近い」と明かす。新型コロナ感染時のリスクは計り知れないが、そんな逆風を追い風に変えた。
日本協会は2月下旬から代表活動を休止して公共交通機関の利用も制限。医療機関勤務のスタッフが感染症病棟の最新状況をアップデートするなど情報収集に努め、選手はもちろん介助者用のガイドラインを作成するなど安全最優先で取り組んだ。競技を取り巻く環境は厳しくなったが、その中で強化指定選手15人とスタッフの計37人が参加するグループLINEが役立った。
先が見えない状況で選手が積極的に意見を発信。文字ベースのやりとりに「顔を合わせたい」という欲求が高まり、4月からオンラインのミーティング、練習に移行した。朝昼晩に設定したフィットネス練習に各自が都合に応じて参加し、縮小版の「テーブルボッチャ」で模擬戦や戦術研究を行うこともある。
密を避けるために物理的な距離が離れたことで、逆に意思疎通は密になった。高い精度が求められる競技で従来は「少し」と感覚的に表現していた距離も「1センチ」など単位を用いて明確化。村上光輝監督(46)は「以前は週1回の合宿でしか会っていなかった選手と今は週3、4回(オンラインで)顔を合わせている。リモートでも一体感は以前より深まっている」と指摘する。
7月末には参加4人ながら都内で合宿を再開。今月予定していた福島合宿やパラ本番を想定した壮行試合は新型コロナの感染再拡大で中止にしたものの、村上監督は「合同練習が3カ月できれば、ピークに持っていける」と手応えを口にする。
パラ延期でスポンサー離れが懸念される状況にあって7月末にはJR東日本と新たにパートナー契約。練習環境整備の支援も決まって「あとは結果。全クラスでメダル獲得が目標」と広瀬は訴える。
今月28日からは日本協会の公式SNSを使ってフォロワー獲得を目指す「1万人プロジェクト」がスタート。選手も積極発信を心掛け、協賛社やファンも含めた「オールジャパン」の一体感を醸成してパラ本番に備える。
《式典など簡素化で経費削減を目指す》国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドルー・パーソンズ会長(43=ブラジル)は東京パラ開幕1年前に合わせて取材に応じ、観客削減や無観客に関し「現段階で検討していない。観客はパラの一部で根幹を成すものだ」と否定的な見解を示した。一方で国際オリンピック委員会(IOC)や大会組織委員会などと協力して式典や輸送など200項目以上で簡素化と経費削減を協議する考えを強調。開催可否の判断時期は「可能な限り最後まで待つ」とし、仮にIOCが五輪中止を判断した場合はパラも中止になると説明した。
▽ボッチャ 脳性まひや四肢機能の障がい者のために考案され、ボール6投で目標にいかに近づけるか競う。男女の区別なく障がいの程度でクラス分け。BC1、BC2(脳性まひ)BC3(脳性まひ、運動機能障がい)BC4(運動機能障がい)で個人戦、2対2のペア、3対3のチームで競う。東京パラは各クラスの個人戦、BC1・2のチーム、BC3とBC4の各ペアで7種目を開催。昨年12月の日本選手権を制した4クラスの王者が東京パラ代表に内定し、残る6人を国際大会の成績などで決める。
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