「アスリートファースト」が本心なら、誘致した人たちは五輪開催に尽力してるの?
2020年09月19日 08:00
五輪
五輪開催地が東京に決まったとき、さも自分の手柄のように誇らしげで、「アスリートファーストの素晴らしい五輪を」とお題目を唱え、予算を湯水のように使って施設等を乱立させた人たちは今、来年の開催に向けて歯を食いしばって戦ってくれているのか。
そうでないなら、最初からインバウンドの経済効果を当てにして、建設事業や交通インフラ整備で一儲けするために「アスリートファースト」という便利な言葉を活用していたとしか思えない。
コロナ禍への対応が不均等で、さらに人命にもかかわる深刻な事態下では世界的に平等な予選は行えない。開催しても真の世界一を競う五輪にはならないと個人的には思う。
ただ、やるのとやらないのとでは意味がまったく違う。高校野球の夏の甲子園大会は中止になったが、各都道府県の高野連は独自の大会を開催した。参加した高校生たちが口を揃えたのは「こんな大会を用意してもらえたことに感謝したい」。彼らは当たり前のことが当たり前ではないことに気付いた特別な世代となった。誰かが歯を食いしばって大会を運営してくれていることを知った。貴重な体験だった。
高校野球に限らず、多くの競技団体が独自大会を実施し、選手たちは笑い、悔しがり、涙を流した。主催者側はそんな選手の姿が見たいから、大会の開催に尽力したのだ。
それなのに五輪という地球規模のスポーツイベントの主催者に高野連や、この夏に独自大会を開催した競技団体の役員レベルの情熱が見えてこないのは何故だろうか。
誰か「東京五輪は無観客でもいい。参加国が限られたとしても出場した選手には細心の安全支援と最高の戦いの舞台を提供する」と言ってくれないものか。それがアスリートファーストなのではないか。
私の恩師で、五輪取材を人生とするスポーツジャーナリストの満薗文博氏が、あるコラムで92年のアルベールビル冬季五輪について書いた。「手作り感たっぷり」の五輪で、スピードスケートも現代の国際大会では異例の屋外リンクだったという。その特設スタンドを誇らしげに見上げて「借りてきた鉄パイプで作り上げた」と胸を張る現地係員の姿も紹介している。
新内閣で、オリンピック・パラリンピック担当大臣に再任された橋本聖子参議院議員は、このアルベールビル五輪のスピードスケート1500メートルで銅メダルを獲得した。本当の「おもてなし」を知るオリンピアンが旗手となって、来年の夏には小さいけれど安全で素晴らしい、アスリートのための新しい様式の五輪を実現してもらいたい。(専門委員)
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