“完全防備”IOCバッハ会長「五輪 観客入れる」 来夏へ不退転の決意示すも…世論は逆風
2020年11月17日 05:30
五輪
来日前に1週間の自主隔離を行い、検査を受けた。自らのチャーター機で来日後も専用車で移動し、宿舎では他の客と接しないような動線を確保。医療従事者が使用するような五輪マーク入りのマスクを会談時も着用し続け、夕方の共同会見で大会組織委員会の森喜朗会長が外したのを見て、やっと口元をあらわにした。
「日本人の規律に驚いた。規律を守らない人がいない。欧州とは違う」。五輪開催に安全な国と強調し、自身も意識の高さをアピールしたが、その日本は14日に全国で1日当たり最多1739人が感染するなど「第3波」が進行中。予定していた味の素ナショナルトレーニングセンターで日本選手と交流するプランも感染予防の観点から中止になるなど国内との「温度差」もあり最悪のタイミングでの来日となった。
日本がプロスポーツや体操の国際大会を有観客で開催した実績を受けて「競技場に観客を入れる確信を持つことができた」と自信を口にしたものの、観客数の上限や決定時期は「時期尚早」と明言せず。自信を示す割に主張には希望的観測が多く、コロナ禍での五輪開催の機運を高める材料は示せなかった。
先月の産業能率大スポーツマネジメント研究所のアンケートでは東京五輪について84・8%が「来年の開催は難しい」と回答するなど、世論は厳しい。森会長は会見で「世論調査で決めていたら事は何も進まない。まずは努力しないと」と反発。契約延長に不安を示すスポンサーが多いと報じたNHKからの質問にも「(取材されて)この時期、五輪に金を出すと答える役員なんかいない」と皮肉った。悲観論を封じようとする“援護射撃”だったが、国民の共感を得られるかは疑問だ。
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