スポーツ界今年の言葉 新庄氏“らしく”「悔いはなし!」森且行「約束を果たせた」

2020年12月31日 10:00

スポーツ

スポーツ界今年の言葉 新庄氏“らしく”「悔いはなし!」森且行「約束を果たせた」
(左上から時計回りに)新庄剛志氏、池江璃花子、正代、木村保氏、中村憲剛、森且行 Photo By スポニチ
 新型コロナウイルス感染拡大により生活様式が大きく変わった2020年。本来なら日本で東京五輪が開催される予定だったが、コロナ禍により21年に延期され、高校野球では春のセンバツも夏の甲子園大会も中止となった。それでもプロ野球が6月19日に開幕すると、サッカーJリーグや大相撲も感染対策を守りながら開催され、日本中に勇気を与えた。そんなスポーツ界から出た今年の心に残る言葉を振り返り、ピックアップする。
 今年話題になった言葉に贈られる「2020ユーキャン新語・流行語大賞」では、年間大賞に感染防止キーワード「3密」が選ばれたほか、トップ10のうちコロナ関連が8つを占めるなどコロナ一色に染まった感のある一年。目に見えない敵に世界中が翻弄(ほんろう)され、その脅威はスポーツ界にも大きなダメージを与えた。

 史上初の中止が決まった「第92回選抜高校野球大会」。21世紀枠で選出され、46年ぶり3度目の出場予定だった磐城(福島)は、木村保前監督が今春の人事異動で同校を去り、聖地で指揮を執ることはできなかった。それでも今夏には、センバツに出場予定だった32チームによる「甲子園高校野球交流試合」が開催され、木村前監督は特例措置でノッカーとして同行。涙を拭いながらバットを振り「(7分間は)時が止まっているような感じだった」と感謝した。

 同じく野球界からは、阪神や日本ハムで活躍し、メッツなど大リーグでもプレーした新庄剛志氏(48)の現役復帰を目指した挑戦が記憶に新しい。今月7日に12球団合同トライアウトに参加すると、背番号1の日本ハム時代のユニホーム姿で躍動。シート打撃では4打席に立ち、最終打席で左前適時打を放つなど存在感をアピールした。しかし、自ら設定した6日間の期限内にはオファーがなく、同13日にNPB復帰を断念。インスタグラムを更新し「いくつになっても挑戦した自分に悔いはなし!みんなも挑戦する楽しさをわかってほしいなぁ!」と、“らしく”記していた。その後も積極的に情報発信しており、動向に注目が集まる。

 うれしい復帰もあった。白血病からの完全復活を目指す競泳女子の池江璃花子(20=ルネサンス)が8月29日、プールに戻ってきた。50メートル自由形に出場し、昨年1月13日の三菱養和スプリント以来594日ぶりのレース。タイムは26秒32で目標に掲げた日本学生選手権(インカレ=10月2~4日)の参加標準記録26秒86をクリアし、感極まって涙を浮かべた。「ああ、本当に戻ってこられたんだ」。24年パリ五輪を目指す池江の第二の水泳人生が幕を開けた瞬間だった。

 大相撲では正代が9月の秋場所(両国国技館)で初優勝を飾り、大関に昇進。圧力を生かした前に出る相撲で貴景勝、朝乃山を連破した。そして、都内の時津風部屋で行われた昇進伝達式の口上では「大関の名に恥じぬよう、至誠一貫の精神で相撲道にまい進してまいります」。決意を口にしながら誠実な土俵態度を貫くことを強調した。

 サッカー界からは川崎Fの元日本代表MF中村憲剛(40)が11月1日、今シーズン限りで引退することを電撃発表し「求められる選手のまま引退したい」。チームは2年ぶり3度目のリーグ制覇を果たして花道を飾り、惜しまれつつも18年間の輝かしいキャリアに終止符を打った。

 11月3日にはオートレーサーの森且行(46=川口)が埼玉・川口オートレース場で行われたSG「第52回日本選手権オートレース」の最終日12R優勝戦(優勝賞金1700万円)で1着。現在5つあるオートレース最高峰のSG(スーパーグレード)競走で悲願の初優勝を飾った。96年にSMAPを脱退し、日本中を驚かせてから24年。「やっと仲間に誓った約束を果たせた。よかった」。オートレース日本一の称号を獲得し、目に大粒の涙を浮かべた。その後、中居正広、木村拓哉、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾からはそれぞれ祝福のメッセージが寄せられた。

 来年は延期された東京五輪がついに開催される。コロナとの闘いを続けながら迎える自国での熱い試合とともに、スポーツ界からは心に残る言葉がいくつ出るだろうか。

 【2020年 スポーツ界の心に残る言葉集】

 ▼青学大・原監督 箱根駅伝で2年ぶり5度目の総合優勝を果たし「やっぱり指数500%。大成功ですね」。毎年恒例となった作戦名に「やっぱり大作戦」を掲げていた。(1月)

 ▼朝乃山 大関昇進の伝達式で、母校・富山商の校歌にある「愛」「正義」、師匠の高砂親方(元大関・朝潮)と同じ「一生懸命」の四字熟語を口上に盛り込み、最高位の横綱を目指す決意を示した。(3月)

 ▼井上尚弥 米ラスベガスでの防衛に成功し「ここからが第二章の始まり」。決意を新たにした。(10月)

 ▼元阪神・藤川球児氏 巨人戦での引退試合を終えて「うん、野球好きなんだな」。慣れしたんだ“最終回”に登板し、全12球の直球勝負で2三振を奪うなど打者3人を抑え、22年間の現役最後のマウンドを締めくくった。(11月)

 ▼佐藤琢磨 世界3大レースの一つ、インディ500を3年ぶりに制し、報告会見で「2度勝つと、もっと勝ってやろうと思う」。3勝目に意欲を示した。 (12月)

 ▼渋野日向子 米女子ツアー全米女子オープン初日は3アンダーの2位と好発進し「100点以上。“出木杉君”です」。今年最終戦は4位だったがメジャーで堂々と優勝争いを繰り広げた。(12月)

 ▼五郎丸歩 21年シーズン限りでの現役引退を発表し、会見で「ラグビーが生まれたイングランドという素晴らしい国に勝利することが、日本ラグビーの価値、スポーツの価値を上げることになる」。23年W杯1次リーグで対戦する“ラグビーの母国”からの初勝利を後輩たちに託した。(12月)

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