スマホがあればいつでもどこでも!臨場感抜群パラスポーツVR体験
2021年03月18日 07:00
スポーツ
同社はこれまでパラリング活動の一環として、パラスポーツ体験会を開催。数年間にわたり、50回以上、5000人以上が参加してきた。しかし、時間や場所の確保などさまざまな制約もあり、その開催数には物理的な限度があった。「スマホ一台あれば、いつでもどこでもパラスポーツを知ってもらうきっかけとなるコンテンツを作ろうと。VRという形であれば、パラスポーツを疑似体験し、興味を持ってもらえると思ったのがきっかけです」とVR動画制作の経緯を明かした。
このほど4競技を追加し、ダイジェスト版を含む計11動画を公開中。今後については「パラスポーツは、障がいのレベルに合わせてクラスやルールが設定されており、その種目数も多いので出来る限り網羅していきたいです」と競技数を増やしていくつもりだ。
VR動画では選手へのインタビューも収録。競技を始めたきっかけなど、各選手のパーソナルな部分についても深く知ることができる。選手自身が障がいについて語る様子は、パラスポーツへ興味を抱く入口になるだろう。
細貝氏は、「パラスポーツってどんなだろう?と気軽な気持ちで見ていただければ。健常者の方がパラスポーツへの興味関心を持つきっかけとパラスポーツを通した障がい者理解に加え、ぜひ障がいを持った方にも見ていただき、『私にもできる、私もやりたい』と新たにパラスポーツにチャレンジするきっかけを生むことができたら嬉しいです」と笑顔で語った。
渡辺は19歳の時に交通事故に遭い、入院先でパラ陸上選手と出会ったことがきっかけで競技を始めた。現在、トラック種目の800メートル、1500メートルからロード種目のマラソンまで中長距離の練習を続けている。「元々はトラックをメインに考えていたが(日本代表になる)可能性の高いマラソンも同時に取り組もうと思い、活動の幅を広げている」と話す。
競技の最大の特徴は「レーサー」という競技専用の車いすに乗ること。「速く走るためだけにつくられている。マラソンの下りでは速度が60キロくらい出ます」と説明するように、そのスピードは圧巻。中高時代に野球をしていた渡辺も最初はその速度に驚いたという。VR動画でもトラックを「レーサー」が駆け抜けていく様子が収録されており、「やっぱりスピード感が一番の魅力。音も迫力があるのでぜひ感じていただければ」と自ら見どころを説明した。
今回のVR動画について渡辺は「パラスポーツはなかなか見てもらえないというのが選手たちの悩み。このようにいろいろな競技を取り上げてもらい、見てもらえる機会が増えるのは純粋に嬉しい」と語り、「ぜひ、障がいを持つ子供のご両親にも見てほしい。障がいがあってもスポーツをすることが当たり前になってほしい」と呼びかけた。
○…障がい者理解を目的とした今回のVR動画。どの映像も迫力満点で、今まで見たことのない視点からの映像は圧巻。映像とともに音もリアルに感じられ、パラスポーツに興味を持つきっかづくりになるはずだ。まずは、10競技を一気に見られるダイジェスト版をぜひ見てほしい。
<NEW・パラ柔道>
視覚障がい者柔道のため、組んだ状態からスタート。審判の位置から近いところで投げる映像は迫力がある。視覚障がい者の見え方はそれぞれ異なるため、選手から話を聞いて制作したイメージ映像も興味深い。
<車いすフェンシング>
選手の頭につけたカメラと、選手の剣と剣をかわす、そのど真ん中に360度カメラが置かれている。そのカメラの真横を剣がすり抜けていく様子は、まさにスリル満点。フェンシングならではの剣の音も体感できる。
<車いすバスケットボール>
距離感が非常にわかりやすく撮影されている。ドリブルする選手と守ろうとする選手の競り合いの状況など、車いすをどのように使っているのかもわかり面白い。選手が座って打つゴールの高さ、遠さを体感できる。
<シッティングバレー>
お尻をつけることがルールの競技。選手がお尻をつけながらどう移動しているのかに注目だ。アタックするシーンでは、トスを受けてから、お尻をスーッと滑らせながら、その勢いのままジャンプせずにアタックをする。
<パラ馬術>
パラスポーツの中でも唯一、動物と一緒に行う競技がパラ馬術。自分だけではない、思うようにいかないのが馬術そもそもの魅力だが、視点の高さにも注目。馬を操っていることが感じられるような映像に仕上がっている。
<パラローイング>
水面ぎりぎりをスピード感とともに、すっーと滑っていくような迫力が見どころ。また、見晴らしが良いため、風景の移り変わりを楽しめるのも特徴の一つ。360度のVRならではの新鮮さ、気持ちよさが感じられる。
<NEW・パラ卓球>
障がいの種類によって、選手それぞれに独自のプレースタイルがある。今回出演の選手は低身長の障がいがあり、手のリーチが短く、球がとれる範囲が限定される。左右にふられる前に先に仕掛ける戦術を体感できる。
<NEW・パラ陸上競技>
車いすにカメラが設置されているため、選手がどのような姿勢で漕いでいるのかがリアルに感じられる。またコース上にカメラが置かれており、その上を猛スピードで通り抜けていくスピード感と音の迫力も見どころ。
<車いすテニス>
選手のヘルメットについているカメラからの映像以外に、ネット中央にもカメラを設置。この位置からは、これまで観客も審判も誰も見たことがない視点でボールが通り過ぎていくので、かなり迫力ある映像になっている。
<パラ射撃>
独特の間や緊張感に惹きつけられる静のスポーツ。インタビューでは、1時間15分の間に60発打つことはまるで綱渡りのような感覚だと表現。射撃前後の弾の変化やグリップの調整など、競技ならではの魅力を体感ができる。
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