最長ブランクでの復活!立大が55年ぶり箱根決めた 上野監督「胴上げされる日が来るとは」
2022年10月16日 04:00
駅伝
作戦はシンプル。「前残りが大事。15キロまで絶対に前にいく」。序盤から出場圏内を推移し、ラストも粘った。集団走でペースを守るのでなく、あくまで個人走で選手一人一人を信頼。その結果が16位だった昨年からの飛躍につながった。
全ては偶然から始まった。指揮官は同じ都内のマンションに住む立大・林英明コーチ(44)と14年に知り合い、一緒にランニングする仲に。18年には立大創立150周年を迎える24年に箱根本大会出場を目指す駅伝部強化プロジェクトが立ち上がった。同年7月、当時実業団のDeNAに在籍していた上野氏は、林コーチと近くの居酒屋でサシ飲み。監督候補を相談しようとした同コーチに対し、「僕じゃダメですか?」と新たな挑戦を欲して逆提案。同年12月の就任へと話が進んだ。
就寝時間の設定や頻繁なミーティング開催など意識改革に加え、現役ランナー兼指導者として文字通り背中で走る厳しさを叩き込んだ。練習だけでなく試合でもともに走り集団を引っ張る。この日チームトップ21位の国安広人(1年)は「監督に勝つことが大学駅伝界で勝負する基準になる」と言い、指揮官は「最近は何人かに勝てないと肌で実感しました」と笑う。20年3月に監督室も備えた駅伝部寮が完成。スター選手不在ながら勤勉な学生たちに密な指導がマッチした。
本大会出場の目標を1年前倒しで実現した上野監督には、既に厳しい箱根路を戦い抜くプランがあるという。「引くつもりはない。シード権を狙いにいく」。一つ扉をこじ開け、次なる関門に挑む。
◇上野 裕一郎(うえの・ゆういちろう)1985年(昭60)7月29日生まれ、長野県佐久市出身の37歳。佐久長聖高から本格的に競技を始め、3年次の03年全国総体2種目で5位。中大では4年連続で箱根駅伝を走り、3区で06年3位、07年区間賞、08年2位。エスビー食品時代の09年には日本選手権2冠で5000メートル世界選手権出場。DeNAを経て現在は現役ランナー兼立大監督。5000メートル自己記録13分21秒49。1メートル83、58キロ。
▽立大 東京・池袋に本部を置くミッション系の私立大。1874年(明7)に米国の宣教師ウィリアムズが東京・築地に開校した私塾「立教学校」がルーツ。1907年に「立教大」となり、その後、池袋に移転した。陸上部は箱根駅伝の始まった1920年創部。34年の15回大会から出場し、最高成績は57年33回大会の3位。前回出場の68年44回大会は11位。主な大学OBに元プロ野球選手の長嶋茂雄氏、一茂氏、タレントのみのもんた。
▽1968年(昭43) 学生運動が盛んだった激動の時代。12月には東京・府中市で現金輸送車に積み込まれた3億円を白バイ警官に扮した男が強奪した未解決の「3億円事件」が起きた。一方で10月のメキシコ五輪では体操男子団体、重量挙げ三宅義信らが金メダル。川端康成が日本人初のノーベル文学賞を受賞するなど明るいニュースも。夏の甲子園は興国(大阪)が初優勝。プロ野球日本シリーズは巨人がV4を達成。セ・リーグ最優秀選手は立大出身の巨人・長嶋茂雄だった。
▽箱根駅伝予選会 上位10校が本戦に出場する。一斉スタートで行われ、各校10~12人が参加し、上位10人の合計タイムで争う。20、21年は新型コロナウイルス感染防止のため陸上自衛隊立川駐屯地の周回コースで無観客だった。今年は3年ぶりに市街地を通る本来のコースで開催された。落選校の中から「関東学連選抜チーム」が編成され、本戦にオープン参加する。
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