二所ノ関親方が九州場所総括 阿炎こそ大関候補最右翼 豊昇龍と若隆景飛び越えて
2022年11月29日 04:40
相撲
そして決定戦の変化。大一番であの選択は勇気が必要ですが、土俵下の貴景勝に心理的な動揺を誘ったことも大きかったと思います。大関は警戒し、立ち合いが遅れました。そこを見越して主導権を握りました。平幕が優勝するには必要だった作戦かもしれません。豊昇龍、若隆景を飛び越えて大関候補の最右翼に浮上したと思います。思い切りの良さと精神力の強さ。彼のイメージもまた変わりました。
長身で腕も長く、相手には嫌なタイプの力士です。今後の課題は、一日一日全力で取る「阿炎ペースの相撲」を継続することです。以前にも指摘しましたが、あっさり負けることが多いのも彼の相撲。勝っても負けても次につながることを心がければ、2度目の優勝と上(大関)は現実のものとなるでしょう。相手が嫌がることを考え、引き出しを増やすことも必要です。
今年6場所全てで勝ち越したのは関脇の2人だけでした。11勝で技能賞を獲得した豊昇龍はだいぶ圧力がつき「重み」が出てきました。大きな相撲も魅力のひとつ。バランスもいいので豪快に取る姿も格好いいです。
若隆景は弱点も出た場所になりました。千秋楽、貴景勝の張り手に対して顔を背けてしまいました。顔なんてくれてやる、くらいの覚悟で稽古場で若い衆に顔を張ってもらい、突き押しの対応力を磨いてもらいたいです。高安は1年で3度も千秋楽の優勝争いに絡みました。実力は一番あります。引き続き一番の重みを感じて精進してほしいと思います。(元横綱・稀勢の里)