国枝慎吾氏に国民栄誉賞 車いすテニスレジェンド パラ&テニス界初の授与へ政府検討
2023年02月04日 04:45
テニス
首相との面会後、室伏長官は「本当に喜ばしい。協力する態勢を組んだ」と記者団に述べた。松野博一官房長官は「パラスポーツ全体の普及と、スポーツの発展に極めて顕著な貢献をし、広く国民に夢と感動を与えた」と理由を説明した。スポーツ庁の協力を得て、関係者の意見を聞いた上で最終判断する。
国枝氏はパラリンピックのシングルスで、08年北京、12年ロンドン、21年東京の3大会で金メダルを獲得。昨年のウィンブルドン選手権を制し、全ての4大大会とパラを制する「生涯ゴールデンスラム」も達成した。09年のプロ転向以降約15年も世界のトップを走り、世界ランキング1位は通算582週。「なぜ日本から世界的な選手が出てこないのか」と問われたフェデラー氏(スイス)が「日本には国枝がいるじゃないか」と答えたエピソードは有名だ。
パラスポーツの地位を向上させた最大の功労者だ。国枝氏が競技を始めた当初はパラスポーツの管轄は健常者と同じ文部科学省ではなく、厚生労働省(14年から文科省に移管)。行政の壁に阻まれ、ロッカーや食堂などコート以外の施設を使えない経験もした。結果を出すことで影響力を強め、15年に遠藤利明五輪相(当時)と会談した際には車いすテニスの基盤強化を嘆願。国内唯一のATPツアー楽天オープンに車いすテニス部門の導入を働きかけ、19年に実現させるなど功績は計り知れない。
09年からはユニクロと所属契約を締結。ホンダ、ANA、ヨネックス、NECなどともスポンサー契約を結ぶ。活躍に見合う対価を得たことは、他のパラアスリートに希望を与え、共生社会実現への機運も前進させた。引退表明後の1月25日には日本テニス協会の創立100周年記念式典に出席。今後は未定だが「エネルギーは使い切りましたが、お世話になってきたテニスに恩返しするエネルギーは残っています」と競技発展に尽力する姿勢を見せていた。7日に都内で引退会見する。
▽国民栄誉賞 スポーツや芸能、文化などの分野で功績を挙げた個人、団体を称えるため、1977年に創設。首相が表彰する。これまでに27例あり、直近ではフィギュアスケート冬季五輪男子2連覇の羽生結弦さん(28)が2018年7月に受賞している。
◇国枝 慎吾(くにえだ・しんご)1984年(昭59)2月21日生まれ、千葉県出身の38歳。麗沢高―麗沢大卒。9歳の時、脊髄腫瘍による下半身まひで車いす生活となり、11歳で車いすテニスを始める。07年全豪オープンで4大大会を初制覇し、同年に史上初の年間グランドスラムを達成した。09年に麗沢大職員を退職してプロ転向。パラリンピックは04年アテネから21年東京まで5大会連続出場。シングルス3個、ダブルス1個の金メダルを獲得。4大大会シングルスでは全豪11回、全仏8回、ウィンブルドン1回、全米8回の優勝。将棋愛好家で、羽生善治九段(52)が憧れ。座右の銘は「オレは最強だ!」。身長1メートル73。右利き
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