ドルーリー選手は特例 子どもたちへの応援の声を止めないで

2023年02月04日 14:39

陸上

ドルーリー選手は特例 子どもたちへの応援の声を止めないで
ドルーリー朱瑛里 Photo By スポニチ
 【君島圭介のスポーツと人間】沿道の声が力になりました。マラソンを走り終えた走者の多くはそう言う。球場で、コートで、大声援の中でプレーする心地よさはプロでも中学生でも同じだ。
 この3年、コロナ禍で子どもたちのスポーツ活動は大きな制限を受けた。なかでも応援に対する入場規制は厳しかった。保護者は1選手1人まで。そんな大会も多く、競技場の外で待機を強いられた親や孫の晴れ姿を見られなかった祖父母は全国に数え切れない。

 陸上界の新星、中学3年のドルーリー朱瑛里(しぇり)選手(15)が、過剰な注目に対する不安から競技生活に支障をきたす事態になった。これまでもアイドル扱いされ、競技とは違った重圧で傷つけられた選手は多い。

 声を上げた彼女の勇気を称えたいし、尊重したい。ただ、そのために競技団体が一律に全国にお触れを出し、沿道やスタンドの応援を規制することには反対だ。

 ドルーリー選手は特例であり、彼女のために主催者や競技団体が撮影の事前申請を課し、スマートフォン等の沿道の無断撮影を禁止し、注意を促す。プライバシーを侵害するようなメディアやSNSには法的な措置をとる断固たる姿勢を示し、守ってあげてほしい。

 ごく少数の度を超した行為のため、誰かを応援する機会を奪うべきではない。競技者のための娯楽だったスポーツは米国を中心に観客を楽しませる「スペクテイタースポーツ」として発展した。例えばミシガン大学には10万人規模のアメリカンフットボール専用スタジアムがあり、その入場料収入は学生の奨学金などに当てられる。スポーツ人気の恩恵を受ける選手もまた多い。

 アスリートがスターであることは悪いことではない。今回のドルーリー選手に関しては明らかなプライバシーの侵害であり、法的に問題のある行為が散見される。彼女を支えるべき大人たちが戦うべき相手は「応援する人たち」ではなく、そういった犯罪まがいの行為だ。(専門委員)

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