4万3120得点 NBAもうひとつの最多得点記録 ジェームズは“幻のジョーダン”をも超えられるか?
2023年02月08日 15:39
バスケット
NBAの通算得点記録保持者は1946年のリーグ発足時に得点王となったジョー・ファルクス(ウォリアーズ=1946~52年)から→ジョージ・マイカン(レイカーズ=52~57年)→ドルフ・シェイズ(ナショナルズ、現76ers=57~63年)→ボブ・ペティット(ホークス=63~65年)→ウィルト・チェンバレン(ウォリアーズほか=65~84年)→カリーム・アブドゥルジャバー(レイカーズほか=84~2023年)に続いてジェームズが史上7人目。ただしこの中で38歳で現役だったのはアブドゥルジャバーとジェームズの2人だけで、アブドゥルジャバーが36歳11カ月での記録更新だったのに対し、ジェームズは38歳2カ月という史上最年長での“頂点到達”となった。
スティールとブロックショットが公式記録になったのは1973年シーズン以降。この影響もあって草創期のスコアラーたちは得点以外の成績で欠けている部分があるとはいえ、ジェームズは通算リバウンドで32位、アシストで4位、スティールで9位、そしてブロックショットでも93位。5部門すべてで100位以内に名を連ねているのはジェームズただ1人で、得点だけでなくNBA屈指の歴史的なオールラウンダーとしての側面ものぞかせている。
さてNBAの通算得点記録を語るとき、多くのメディアとファンには“永遠の疑問”が残されている。それは3万2292得点で5位にランクされているマイケル・ジョーダン(元ブルズ&ウィザーズ)が、もし2度の引退と復帰を繰り返されなければどうなっていたか?ということ。ジョーダンが5位という順位を確保するのに要した試合数は1072。ジェームズより338試合も少ない状況の中で彼はここまで登りつめていた。
机上の計算をやってみる。たぶんそれが現実に起こったとしても、かなりの“誤差”があるのは覚悟の上である。
ブルズで930試合、ウィザーズで142試合に出場しているジョーダンは2度にわたってNBAから離れている。最初は父の不慮の死に見舞われたあとの93年シーズンで、2度目のファイナル3連覇を達成したあとの97年シーズン後が2回目。最初の引退のあと94年シーズン終盤(95年3月)に“I’m back”の一言で復帰して17試合に出場しているが、彼の競技人生にはいたるところで欠落している部分がある。
まずレギュラーシーズン全82試合に対する出場率をはじき出そうと思うが、17試合でプレーした94年シーズンは故障で残り65試合を欠場したわけではないので除外。すると残り14シーズンの数値を元に計算すると全1148試合に対して1055試合の出場になるので91・9%となる。そして94年シーズンを開幕から登録されていたと仮定すると、このシーズンは91・9%相当の試合数(75=小数点以下は切り捨て)で“幻のジョーダン”は2257得点(実際は17試合で457得点)を記録していたことになる。
40歳となっていた2002年シーズンを最後に引退するまで“全休”が4シーズン分あるので、平均出場試合数と平均得点をかけて足すと9030得点。さらに94年の修正部分を加えると、ジョーダンの残した“穴”には1万1285得点分が詰め込まれている計算になる。
これに現実の世界で残した3万2292得点から94年分(457得点)を引いて“穴埋め分”を足すと、合計4万3120得点。ジェームズが樹立した新記録は十二分に立派なもので、異議を唱える部分など何一つないが、もし彼が今後も現役を続けて“幻のジョーダン”を超えた日が来たのなら、私は1人で乾杯することにする。
アブドゥルジャバーの引退後、ジェームズが記録を書き換えるまでに要した歳月は約34年。では次にジェームズの記録が破られる日はいつになるのだろう?この話題で比較対象になっているのはマーベリクスのルカ・ドンチッチ(23)だが、昨季までの4シーズンでのドンチッチの出場率は80・2%。この期間の出場率が96・3%だったジェームズとは大きな開きがあり、デビューから4シーズン分での得点差は「1477」に達している。
ジェームズはまだ現役を続けていきそうなので、後続の選手にとってハードルはこれからもさらに上昇。ハードな日程を乗り切るために主力を休養させるのが日常となっている今のNBAにあって、平均ではなく積み重ねて築いていく記録の更新はこれからはさらに難しくなっていくのだろう。
私はジェームズの記録を塗り替える人物の登場を年齢的に見れそうにはない。だからもし数十年先に(数百年先?)目撃される方がいたら思い出してほしい。NBAの通算得点記録には“偉大な現実部門”と“脳裏をよぎる幻部門”の2つがあることを…。
◆高柳 昌弥(たかやなぎ・まさや)1958年、北九州市出身。上智大卒。ゴルフ、プロ野球、五輪、NFL、NBAなどを担当。NFLスーパーボウルや、マイケル・ジョーダン全盛時のNBAファイナルなどを取材。50歳以上のシニア・バスケの全国大会には7年連続で出場。還暦だった2018年の東京マラソンは4時間39分で完走。
おすすめテーマ
2023年02月08日のニュース
特集
スポーツのランキング
-
大山加奈さん 東原亜希と“双子ママ”2ショット公開、対談に「勇気と多胎育児のヒントをいただきました」
-
池江璃花子「私の人生が大きく変わった日」から4年…壁実感も「充実してるなぁ」
-
ドーピング疑惑のワリエワ「最も幸せな瞬間の1つ」北京五輪から1年 団体金“未確定”も喜びつづる
-
スーパーボウルまであと5日 30秒で9億円のCMは今年も超豪華なラインアップ
-
【元横綱稀勢の里コラム】楽しみスーパーボウル 対人競技の相撲にも共通するアメフトの駆け引き
-
国枝氏 車いすとともに27年「スポーツとして認めてもらうための戦いだった」引退会見は涙なし
-
国枝氏 妻も“最強”だ!「家に帰って“無理だ”と吐き出せる場所があったことは助けに」
-
スケボー小野寺吟雲 世界選手権3位のご褒美は「ワンタンスープ食べたい」
-
トヨタ 来季B・バレット&A・スミス加入 NZの大物ハーフ団 2人で200キャップ超
-
リーグワン新規参入チーム受け入れ決定 理事会で無期限活動停止中の日野についても議論
-
スズキ社外取締役に高橋尚子さん就任へ「スポーツ分野の第一人者であり、幅広い経験」
-
島田麻央「悔しい」 全中連覇より2度の転倒悔やむ 冒頭の3回転半は“完璧”
-
現役引退から2カ月 元小結・千代大龍が“電車道”開業の焼き肉店を公開