千代の国「気持ちと体の限界が来た」引退会見で涙…ケガと闘い続けた不撓不屈の17年間 2度の劇的復活も

2023年07月22日 11:37

相撲

千代の国「気持ちと体の限界が来た」引退会見で涙…ケガと闘い続けた不撓不屈の17年間 2度の劇的復活も
会見で号泣する千代の国(日本相撲協会提供) Photo By 提供写真
 21日に現役引退を発表した大相撲の元幕内・千代の国(33=九重部屋)が22日、名古屋場所の会場である愛知・ドルフィンズアリーナで引退会見を行った。
 ケガと闘い続けた17年間の土俵人生だった。肩、肘、両膝…満身創痍の体で土俵を務めてきたが、ついに限界を迎えた。幕内→三段目→幕内→幕下→幕内と、2度も劇的な大復活を遂げてきた波瀾万丈の土俵人生。「そのたびに励ましていただいて、奮い立たせていただいて、周りの方のおかげで17年間取り切れた」。感謝の思いを口にすると、言葉に詰まり、涙があふれた。

 夏場所9日目が最後の土俵となった。9連敗を喫して翌日から休場。その時点で決意は固まっていた。「気持ちと体の限界が来て引退を決意させていただきました。寂しい気持ちとホッとした気持ちがあるような、複雑な心境です」。苦闘の日々から解放され、少し安どの表情が見られた。

 会見に同席した師匠の九重親方(元大関・千代大海)は、千代の国の力士人生を労い、称えた。「先代(元横綱・千代の富士)の教えである不撓不屈の精神力を持って、ケガに負けない、ひたすら努力する姿を部屋の全員に見せてくれた。若い衆はケガとの向き合い方を、千代の国の背中を見て学んだと思う。影響の大きな存在だった」。幕内で活躍してきた成績以上に、残したものは偉大だった。

 今後は年寄「佐ノ山」として九重部屋で後進の指導にあたる。「土俵が自分の居場所。土俵は自分の中のパワースポット」と熱い思いを持つ33歳が、これからは教える立場になる。「逃げない気持ちと強い心を持った力士を、師匠の下で育てていければ」と“第二の千代の国”育成を誓った。


 ◇千代の国 憲輝(ちよのくに・としき)本名=澤田憲輝。1990年(平2)7月10日生まれ、三重県伊賀市出身の33歳。中学卒業後に九重部屋に入門し、06年夏場所で初土俵。11年名古屋場所で新十両。12年初場所で新入幕。その後は幕下以下への転落からの幕内返り咲きを2度も成し遂げた。通算成績539勝452敗180休。幕内在位34場所。幕内成績199勝216敗95休。十両優勝3回。敢闘賞2回。金星1個。1メートル82、150キロ。兄・澤田賢澄さんは同じ九重部屋の元幕下力士で、Netflixのドラマ「サンクチュアリ―聖域―」に猿谷役で出演。

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