その眠り方だと疲れが取れない!疲労回復できる眠り方、できない眠り方【総まとめ】

2023年12月20日 09:00

その眠り方だと疲れが取れない!疲労回復できる眠り方、できない眠り方【総まとめ】
その日の疲れはできるだけ明日に持ち越したくないもの。そこで明日に疲れを残さないための睡眠法について、過去に実施した専門家インタビューを総まとめ! 疲れが取れる眠り方、寝ても疲れが取れないNGな睡眠習慣、睡眠の質を高める食 […]

その日の疲れはできるだけ明日に持ち越したくないもの。そこで明日に疲れを残さないための睡眠法について、過去に実施した専門家インタビューを総まとめ!

疲れが取れる眠り方、寝ても疲れが取れないNGな睡眠習慣、睡眠の質を高める食べ物など、忙しいこのシーズンに役立つ情報を一挙公開します。

1.疲労回復に効果的な眠り方とは。明日に疲れを残さない睡眠ポイント

よく眠ったはずなのに、昨日の仕事や運動の疲れがまだ残っている……。そんな悩みを抱えている人はいないだろうか。

その日の疲れはできるだけ明日に持ち越したくないもの。そこで明日に疲れを残さないための睡眠法について、睡眠医療を専門とする精神科医で、早稲田大学准教授の西多昌規氏にお話をうかがった。

西多昌規[プロフィール]
西多昌規(にしだ・まさき)
早稲田大学スポーツ科学学術院・准教授、精神科医。1970年、石川県生まれ。東京医科歯科大学卒業。東京医科歯科大学助教、自治医科大学講師、ハーバード大学、スタンフォード大学の客員研究員などを経て、早稲田大学スポーツ科学学術院・准教授に。精神科専門医、睡眠医療認定医。専門は睡眠、身体運動とメンタルヘルス。著書に「『昨日の疲れ』が抜けなくなったら読む本」「休む技術」(大和書房)、「『テンパらない』技術」(PHP文庫)など多数

理想的な睡眠習慣とは

まずは理想的な睡眠についてのお話から。寝る前に注意すべきポイントとは何だろうか?

「やはり決まった時間に寝て、決まった時間に起きるというのが理想です。夜勤と日勤が交互に来るような仕事をしている方もいると思いますが、正直なところ体内時計がかなり乱れるので、心身ともに病気のリスクが高まります」(西多氏)

やはり、よく言われることではあるが、就寝と起床の時間をある程度固定するのが理想的な睡眠習慣につながるとのこと。ただ、それもしっかり睡眠時間が取れていることが前提となる。

「睡眠時間は6〜7時間が理想ではありますが、現代の社会人となると、なかなかその時間を確保するのも難しいですよね。そういう場合には、週の真ん中あたりになるべく仕事を早く切り上げて帰り、いつもより長く寝る日を作るといいでしょう。ただ、よほど睡眠不足が蓄積していれば別ですが、人間というのは早寝がなかなかできません。ですので、寝る時間を早めるのは、せいぜい1〜30分程度でいいと思います」(西多氏)

睡眠の質を高める良習慣とは

どうやら、多少は睡眠時間が不規則になっても、睡眠時間を確保するほうが重要ということのよう。とはいえ、30分しか多く眠らないなら、わざわざ早く帰宅する必要もない気がするが……。

「重要なのは仕事が終わってから寝るまでの間に、睡眠の質を高めるような活動をすることです。オススメはやはり運動ですね。運動による適度な疲れは睡眠の質を高めますから。同じ6〜7時間の睡眠でも、深く眠ることができ、疲労が回復するんです」(西多氏)

就寝の60〜90分前に入浴する

就寝の60〜90分前にお風呂に入るのも効果的とのこと。

このときシャワーで済ませるのではなく、湯船につかるのがポイントだ。お風呂を張るのが面倒であれば、前述の早寝と決めた日だけ、近所の銭湯に行くようにするのも良いだろう。

なお、湯質については「湯船のお湯を炭酸泉にするのが睡眠にいいというデータがあります。お湯に入れると泡が出る炭酸入りの入浴剤を使ってみるといいかもしれません」とのことだ。

寝具に過度なこだわりは必要ない

では、寝るときの状況=寝具についても聞いてみよう。西多氏によると「寝具に過度なこだわりは禁物」だそうだが……。

「寝るときに敷くマットや布団などは、個人の嗜好が強いんですよね。マットでも低反発性で深く沈み込む素材もあれば、逆に高反発のものもあります。枕も大きさや硬さの好みが大きいですね。高すぎるのは単純に首が曲がって呼吸がしづらくなり、良くないとは言われています。ただ、要は“これが絶対いい”というものはありません。それよりも寝る前の習慣を見直した方がいいでしょう」(西多氏)

睡眠の質を悪くする悪習慣とは

睡眠の質が悪くなるのは、眠りが浅くなってしまう悪習慣が原因のこともある。これを排除していくのも、深い眠りにつながるだろう。

代表的なものでいうと、お酒、カフェイン、タバコ、スマホなどがある。ひとつずつ見ていこう。

夕方以降のカフェイン、タバコは控える

「カフェインは4~5時間ほど作用が持続するものなので、良質な睡眠を取りたいのであれば、夕方以降は飲まない方がいいです。タバコもニコチンの覚醒作用があります。タバコを吸わないと眠れないという人もいますが、それは完全にニコチン依存の症状です」

タバコを吸っている手

ブルーライトは夜間モードなどを活用しよう

なお、スマホについては、以前から目に悪いとされていたブルーライトが影響しているという。

「どうしても寝る直前までスマホを見ていないとならないのであれば、少し明るさを抑えるだけでも効果があります。最近ではブルーライトを抑えるスマホやパソコン用のアプリもあるので、活用してみるといいでしょう」(西多氏)

睡眠負債をセルフチェックしてみよう

つまるところ疲労回復につながる睡眠とは、“適度な時間”の“質の良い眠り”ということだ。では、現在の自分の睡眠が良い状態かどうかを計る手段はあるだろうか。

「まず普段の生活で、日中とてつもなく眠くなるようなことがあれば、睡眠時間が短いことを疑った方がいいです。また、お休みの日の寝坊の具合をチェックするのも、ひとつの指標になります。例えば、休日の朝に普段より2〜3時間程度の寝坊で済んでいれば、それほど問題ないと思います。しかし、4時間以上も多く寝ているのは、平日の眠りが不足して、いわゆる“睡眠負債”が溜まっている状態かもしれません」(西多氏)

ちなみに、寝坊するのが1〜2時間程度で済んでいれば、現代人としては優秀な睡眠状態にあるという。

週末にありがちな睡眠負債を防ぐポイント

睡眠負債にはあるお決まりのパターンがあるという。土曜に寝坊をして早く眠れなくなり、夜更かしをしてさらに時差ボケ状態に。月曜に睡眠不足のまま出社するというのは、よくある話だ。

暗い部屋でスマホを触っている

休日に起こるこの負のスパイラルを断ち切るには、睡眠不足の負債をなくしていかなければならない。それには前述の対策に取り組むことが肝要だ。十分すぎるくらいの睡眠を1ヶ月程度続けて、ようやく睡眠負債を完済できるという研究結果もあるとか。

「今挙げた対策を全部完璧に実行することは難しいでしょうが、少しずつでも注意して生活に落とし込んでいくと、睡眠の質は良い方向に向かうと思います。カフェインを飲んでも関係ないと言う人が多いと思いますが、飲んでいる人の睡眠時の脳波を見てみると、明らかに眠りが浅くなっていることがわかります」(西多氏)

疲労回復につながるような深い睡眠をとるには、夜だけ工夫するのではなく、むしろ目が覚めてから寝るまでの起きている間の行動が大事。西多氏はそれを強調していた。仕事や運動の疲れがなかなか抜けない……という人は、まず生活習慣から見直してみるといいだろう。

2.効率よく疲労回復できる眠り方「濃縮睡眠」とは。“理想の睡眠時間”に惑わされない!

「睡眠時間は1日〇時間」とよく聞きますが、つい寝る時間が遅くなってしまい、結局いつも寝不足。健康のために確保したい睡眠時間と、実際の睡眠時間には1時間以上の差があるという調査結果も(エマ・スリープ、全薬工業調べ)。または睡眠時間を確保できないとお悩みの人へ、注目の考え方があります。

睡眠セラピストの松本美栄さんが考案した「濃縮睡眠」というメソッドです。睡眠を濃縮する? 一体、どんなメソッドなのでしょうか。


[プロフィール]
松本美栄(まつもと・みえ)睡眠セラピスト。睡眠デトックス・姿勢美矯正サロン「プロスパービューティー」オーナー。一般社団法人 濃縮睡眠協会 代表理事。「睡眠の変化から人生の豊かさをより感じられる人を増やす」ことを目標にサロンでの施術・カウンセリングや座学の提供のほか、企業や消防署などでの講演やセミナー、メディアへの出演も行っており、これまでに延べ6000人以上の睡眠に関する悩みを解決。2020年からはオンラインでの勉強会を開催しており、参加者は延べ2000人を超える。著書に、『誰でも簡単に疲れない体が手に入る 濃縮睡眠Rメソッド』(かんき出版)、『パフォーマンスを劇的に変える!快眠習慣』(自由国民社)がある。

──さっそくですが、「濃縮睡眠」について教えてください。どんなメソッドでしょうか?

「濃縮睡眠」とは私が作った言葉で、入眠から2時間の睡眠の質を高めるという効率の良い睡眠法を指します。

睡眠セラピストの松本美栄さん

──なぜ入眠2時間以内に質の高い睡眠をとる必要があるのでしょうか。

2つ理由があります。

ひとつは、入眠から2時間、深い睡眠をとることで、効率よく成長ホルモンが分泌する点にあります。そのタイミングで出る分泌量は、1日の約50%になると言われているので、濃縮睡眠では入眠2時間を大切にしています。

もうひとつは、グリンパティックシステムと呼ばれる、深い睡眠をとったときに脳に溜まった老廃物を効率よく排除してくれる機能がよく働くという点です。

この2つの効果を得るために、入眠時から深い睡眠をとることが大切であるとしています。

──量より質というイメージですね。ちなみに、長く寝ても問題はないのでしょうか? 10時間以上など、長時間寝ることで考えられるデメリットとは。

ロングスリーパーと呼ばれる体質であれば、長く寝ることがその人のベストな睡眠時間なのでしょう。しかし、そうでない場合は、長く寝過ぎるとデメリットが多くなります。

深い睡眠がとれていないために長時間の睡眠が必要となり、ずっと横たわっているので体の負担が増えてしまいます。そして、頭がぼーっとして集中力が下がる、だるい、代謝の低下などのほか、早死にリスクも高まるというデータもあります。

4時間睡眠より10時間睡眠のほうが死亡リスクが高い

データによると、7時間くらいがちょうどいい睡眠時間とされており、そこから睡眠時間が短くなるにつれて死亡リスクは高くなっていきます。しかし、4時間睡眠より死亡リスクが高いのは、実は10時間睡眠です。

体調不良などで長時間睡眠をとる例を含めたとしても、長時間睡眠のほうが死亡リスクは高い結果になっています。

ちなみに休日の寝だめもよくありません。体内リズムが乱れ、余計に睡眠の質が下がる原因になります。

──昔はよく10時間以上寝ていたのですが、今からリカバリーできるでしょうか?

若いときは睡眠ホルモン「メラトニン」の量も豊富なので、いくらでも寝れちゃうんです。なので、年を取ってメラトニン量も少ない状態で長時間寝ることとは、少し事情が違ってきます。

──いよいよ「濃縮睡眠」のやり方です。しっかりと効果を得るため、どんなことを行うとよいでしょうか。ポイントを教えてください。

3つのポイントがあります。「脳疲労の解消」、「血流の改善」、そして「睡眠環境の整理」です。

ポイント1 脳疲労の解消

まず脳疲労の解消について。ここがもっとも大切です。

睡眠状態が良くないと脳疲労が溜まりやすくなり、脳疲労が溜まってくると睡眠の質も低下していきます。負のスパイラルです。そのため、睡眠の質をよくする行動と、脳疲労を解消していく行動の両方を行う必要があります。

具体的には、頭をマッサージする“頭蓋マッサージ”です。頭蓋マッサージで脳疲労が解消されると、頬骨が上がる、目がぱっちりするなど見た目にも表れてきます。

あとは、“眼精疲労の解消”、脳の中の疲れをケアする“マインドフルネス”を提唱しています。

ポイント2 血流の改善

次に、血流の改善。肩甲骨ストレッチによる姿勢のケアがおすすめです。背中の筋肉や肩甲骨まわりをゆるめていきます。

睡眠ホルモンのメラトニンを分泌するための栄養を摂るのもおすすめしています。タンパク質(トリプトファン)、マグネシウム、鉄、ビタミンB6、抗酸化食品です。

ポイント3 睡眠環境の整理

寝る前の“ブルーライト”は睡眠へのリスクが大きいです。そして“枕”。あとは“ほこり”も睡眠の質に影響しますので、床掃除をおすすめしています。

──上記3つ以外にも、行うとよいことはありますか?

朝のウォーキングや、寝る前90分前の入浴、ストレスケアとして“感謝ワーク”を行うこと、それからパワーナップ(仮眠)でしょうか。起床時間を揃えるなどもおすすめしています。

──いま教えて頂いたことを続けてみて、「濃縮睡眠」ができているか、どのように確認するとよいでしょうか。チェック方法を教えてください。

分かりやすいのは睡眠アプリでの計測です。入眠や覚醒のタイミング、回数など睡眠状態をくわしく計測していきましょう。

朝の目覚めの状態と日中の眠さも目安のひとつです。

──睡眠アプリのデータと体感、どちらを信じればよいでしょうか? 寝起きが良くなかったときでもデータ上では良い数値が出ていることがあります。

基本的には体感を重視してよいのかなと思います。そのときの睡眠ログはよくても、溜まっている疲れはとれていないという可能性があります。

朝眠いというのはさまざまな理由が考えられるので一概には言えないのですが、少なくとも起床後スッキリせず眠気が続くというのは、そのときの睡眠に問題があったというより、そもそも脳疲労が溜まっていて、まだまだ解消できていないという状態かもしれません。

逆に、睡眠データはあまり良くなかったけれど、めちゃくちゃスッキリ起きることができたときは、それだけで1日の幸福度が上がるという研究結果もありますよ。

──ショートスリーパーの人は「濃縮睡眠」ができているということでしょうか? 違いがあれば教えてください。

私の定義では、ショートスリーパーは遺伝子的に短い睡眠時間が適している人を指します。全体における割合は5%程度とも言われていますね。生まれ持った特異体質なので、「ショートスリーパーになる」というのは難しいのではないかと考えています。

私の提唱する「濃縮睡眠」は、質の良い睡眠をとることを基本としています。睡眠負債を抱えている、いわゆる質の高い睡眠をとれていない人が実践することで、短い睡眠時間ですっきり起床できたり、逆に今まであまり眠れなかった人はぐっすり眠れるようになるなど、自分にとって最適な睡眠が行えるようになります。

──ところで……夜10時に眠ると成長ホルモンが分泌されやすいという「睡眠のゴールデンタイム説(シンデレラタイム)」は、なぜ生まれたのでしょうか? 近年まで信じられてきました。

はっきりと分かっているわけではないのですが、こうじゃないかと言われている説はあります。

1991年ごろに行われた睡眠と成長ホルモンの研究において、睡眠ホルモンの分泌量と就寝時間をチェックしたとき、研究対象者の入眠時間が22時ぐらいで、24時ごろに成長ホルモンが出ているという研究結果があります。

実は他の時間に寝ても成長ホルモンは分泌されていたのですが、当時のメディアが一部を切り取って伝えてしまったため、睡眠のゴールデンタイムとか、シンデレラタイムのような説が広まったのではないかと考えられます。

もちろん、その後の研究でも、何時に寝たとしても成長ホルモンは分泌されるという結果が出ています。

後半では、「濃縮睡眠」でもっとも重要な、脳疲労を解消する眠り方について聞いていきます。

3.脳疲労を回復させる方法は「睡眠」にあり!専門家が教える“脳の疲れをとる眠り方”

前半では、入眠から2時間の睡眠の質を高めることで効率よく疲労回復できる「濃縮睡眠」というメソッドを教えてもらいました。後編では、「濃縮睡眠」でとくに大切な脳疲労解消にフォーカス。

脳疲労が溜まっていると睡眠の質は低下し、睡眠の質が悪いと脳疲労が溜まりやすくなる。この負のスパイラル、どのようにして抜け出すとよいのでしょうか。引き続き、睡眠セラピストの松本美栄さんに伺います。

──最近よく聞く「脳疲労」。どんな状態を指すのでしょうか? また、脳疲労が溜まるとどんな症状が現れてくるのでしょうか。

脳疲労とは、活性酸素によって脳が酸化し、それによって脳の機能が低下している状態を指します。

脳疲労が溜まると、認知機能が低下します。そうなると物事に対する意欲が出なくなります。うつ病や認知症などにも見られる症状ですね。好きなことは何とかできるけれど、そのほかに対するやる気が出なくなる。あとは、記憶力や集中力、判断力の低下も見られます。

コミュニケーション能力も低下します。人とのトラブルが出やすくなったり、言葉の受け止め方が敏感になったり、思考がネガティブになりやすいです。逆に、イライラしたりカッとなりやすいパターンもあります。

体の症状としては、倦怠感が出やすくなります。

食の変化も起きますね。食べ過ぎ、飲み過ぎなどです。食べ物のチョイスも変わってきますよ。刺激物、脂っこいもの、辛いもの、しょっぱいもの、高カロリーなものなどが食べたくなります。

──現代人は脳疲労が溜まりやすいと聞きますが、どんなことが脳疲労の原因につながるのでしょうか。

やはり睡眠不足が挙げられます。寝ないと脳は回復しないので、脳疲労が溜まります。それからストレスですね。活性酸素が溜まると脳も酸化します。

栄養不足もよくありません。脳の機能が低下してしまい、活性酸素が発生しやすくなります。添加物の多いもの(加工食品やお菓子、高カロリーなもの、インスタント食品を多く摂取し続けると栄養不足に陥り、脳疲労が溜まりやすくなります。

あとは運動不足です。血流が悪くなります。

冷え、肩こり、長時間のスマホやデスクワークなどによる姿勢の崩れも血流悪化や眼精疲労を招き、脳に十分な血液が届かなくなって脳疲労につながります。

まだまだある! 脳疲労の原因

情報過多も原因のひとつですね。テレビやネットなどを見続けて脳がパンクしてしまう。

現代社会は脳疲労の原因だらけです。なにもしないと溜まっていく一方だと思ってください。

──脳疲労があまり溜まっていない人はいるのでしょうか?

はい、いると思います。意識してケアをしている人です。

私のクライアントさんを例に出すと、経営者や優秀なビジネスマンの方は睡眠を大切にしており、健康への意識が高い傾向にあります。そういうことが仕事の生産性につながると意識していて、マインド面も勉強しています。きちんとケアを行っている人は、脳疲労が溜まりにくいと言えるでしょう。

あとは、自然をとり入れる生活や、自然豊かな環境に身を置いている人などでしょうか。

こんな症状があれば脳疲労状態かも! 脳が疲れているサイン

脳が疲れているサインとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 刺激物や甘いものが無性に食べたくなったとき
  • 暴飲暴食してしまうとき
  • アルコールの量が増えたとき
  • 忘れ物やケアレスミスが増えた、続くとき
  • いらいらしやすいとき
  • やる気がでないとき
  • 集中力が続かないとき
  • もの忘れしやすいとき(記憶力が低下)
  • 考えがまとまりにくいとき
  • 趣味をやらなくなったとき

──脳疲労が溜まっていても、睡眠で取り除けますか?

はい、取り除けます。脳疲労が溜まる原因のひとつが睡眠不足なので、質の良い睡眠を継続してとることで脳疲労も解消できると思います。

──睡眠以外で脳疲労を解消する方法はありますか? たとえば食べ物やマッサージなど。

脳を酸化させないことがポイントなので、抗酸化力が高い食品を摂るのはひとつの手です。

おすすめは「黒にんにく」。ポリフェノールによる抗酸化力が高いですし、ニンニク自体に脳疲労に効果のある栄養成分が入っています。しかも発酵させると抗酸化力が倍増します。

ほかには緑黄色野菜、とくにパプリカ。果物ではカシスがおすすめです。ポリフェノール、ビタミンCが含まれています。

頭蓋マッサージや眼精疲労ケア

頭蓋マッサージもおすすめです。大体の人は頭がガチガチで固まっているので、頭蓋マッサージを行うと「頭が軽い!」と驚かれます。

帽子が大きく感じる、頭がスッキリして軽くなったなどの変化を感じる人もたくさんいます。眼精疲労のマッサージや、目元を温めるのもいいですよ。

マインドフルネスで思考を「今ここ」へ

あとは、脳疲労が溜まっている=頭の中が散らかっている状態なので、マインドフルネスで「いまこの瞬間」の思考や感情、体の状態に意識を向けることで、自分自身を受け入れていくというのもおすすめです。

運動やストレッチをすること、血流をよくすることも大切ですね。

──MELOS的には、脳疲労を解消できる運動は気になるポイントです。

おすすめの運動は「朝のウォーキング」です。睡眠・脳疲労・メンタルケアにトリプルで効きます。

──通勤で歩くのはちょっと違いますか? 通勤時間をウォーキングに当てるといいかなと思ったのですが。

それでも構いませんが、 “太陽の光を浴びること”と“リズム運動”が、体内リズムを整え、幸せホルモンであるセロトニン分泌に有効ですので、できれば起床後1時間以内にテンポよく歩くのがベストです。

そして、気分よく歩くというのも重要です。「これから仕事か~行きたくないな」「人多いな~」というモチベーションではなく、自然豊かな景色を眺めながらスニーカーで快活に歩くという感じであればいいかなと思います。

──週に何回ほど運動をすればよいでしょうか。

運動をすると、脳にとって良い分泌物が出ます。

それを促進するという目的であれば、週に3~4回、1時間くらいで、ダンスなどのようなさまざまな動きがある運動を行うのが効果的です。

4.寝る前のスマホいじり、止める方法は?

寝る前のスマホ(ブルーライト)は睡眠の質を下げる。分かっていても、ベッドでのスマホいじりをどうしても止められない。そんな現代人は多いのでは。

エマ・スリープと全薬工業の調査によると、「睡眠時間が確保できない理由」の1位は「寝る前についついスマホを触ってしまう」という結果も出ています。

松本さんは、この問題についての見解と対策について以下のように述べています。

寝る前もスマホが手放せない時点で「すでに依存症」である

スマホが手放せない時点で、脳疲労が溜まっている状態と言えます。スマホ依存ですね。アルコールやニコチンのように中毒性が高く、ドーパミン依存と捉えることができます。

スマホ自体が依存性を高めるような設計となっているので、手放せないのは脳疲労が高まっている状態であり、意志が弱いだけの問題ではないと考えています。

そうはいっても寝る前のブルーライトは目の刺激になり、脳を興奮させ、なかなか鎮静化されないので、深い睡眠にはなりにくいわけです。そのため成長ホルモンも分泌されにくく、疲れもとれにくい。

こういうことをしっかり認識するだけで、寝る前になんとなくスマホを触るという行為を止めてみる人もいます。

やってみると睡眠の深さや目覚めも違うので、実感してさらに控える人もいます。

ブルーライトカットを意識する、画面から距離をとるのもアリ

それ以外では、ブルーライトカットでしょうか。効果に関してはいろいろな説がありますが、ブルーライトカットシールやメガネ、端末の設定を変えるとよいでしょう。

距離を離してみるのもひとつの手です。テレビでも、少し距離をとって視聴するとブルーライトの影響を抑えることができます。

少しずつ、できる範囲内から試していくのがよい

極端に変更するのも勇気がいるので、ちょっとずつ変えていくのが良いかと思います。

布団の中には持ち込まないとか、明かりを消したらスマホを触るのを止める、寝る30分前からは止めるなど。

そうしていくうちにどこかで脳疲労の解消が実感できるので、行動にもさらに変化が出てくるかと思います。

5.睡眠の質を上げる方法(食べ物・飲み物・快眠ポイント)

睡眠不足解消のためには、睡眠時間の確保はもちろん、その質にも注目してみましょう。ここからは、睡眠の質を高めるための食べ物や飲み物、快眠行動について紹介します。


[プロフィール]
山形ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストランなど、15社以上のメニュー開発にも携わる。
「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘル-youtubeチャンネルで簡単薬膳レシピ動画を公開するなど、精力的に活動している。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

睡眠の質を上げる快眠ポイント

就寝時間をいつも揃える

規則正しい生活リズムは、睡眠の質を高めるためにとても重要です。

毎日だいたい同じ時間に寝て、同じ時間に起きることが大切。これは休日も同様です。

朝は太陽の光を浴び、体内時計をリセットする

また、朝の光を浴びることもおすすめです。朝の光は体内時計をリセットするといわれています。毎日決まった時間にカーテンを開け、朝の光を浴びるようにしましょう。

適度な運動をする

適度な運動は睡眠の質を向上させるのに役立ちます。運動は、早足の散歩や軽いランニングなどの有酸素運動がよいでしょう。運動する時間帯は、夕方から夜(就寝の3時間くらい前)が効果的だとされています。

ただし、激しい運動は睡眠を妨げることがあります。自分にとって、負担が少なく長続きするような運動を選ぶことが大切です。

睡眠環境を整える

睡眠環境は、質の高い睡眠に深く関係しています。睡眠環境を整えるポイントは、大きく3つに分けられます。

1つ目は、寝室を暗くすることです。明るい光は眠りの妨げになるため、カーテンやブラインドなどで外からの光を遮断しましょう。また、電子機器の光が気になる場合は、スリープモードにするか、寝室には置かないことをおすすめします。

2つ目は、静かな環境です。音が気になる場合、耳栓を利用するのもいいでしょう。

最後は、快適な温度を保つことです。適切な温度は人によって違いますが、感覚的にやや涼しく感じるくらいがおすすめです。

快眠におすすめの栄養成分

普段の食事から摂れる栄養成分で、睡眠のサポートに役立つものがあります。以下は、その代表的なものです。

メラトニン

メラトニンは、脳から分泌される神経ホルモンです。「睡眠ホルモン」とも呼ばれ、睡眠を促す役割があります。

メラトニンは、朝に光を浴びることにより、夜になると分泌が増えます。そのため、睡眠の質をあげるには、日中に十分な光を浴びることが重要です。また、夜には明るい照明を避けることも大切です。

メラトニンそのものを食品から摂ることは難しいですが、その原料であるトリプトファンは食品から摂ることができます。

トリプトファンを多く含む食品:豆腐、納豆、大豆、魚介類、バナナ、玄米、卵、チーズ、牛乳など

これらの食品は、トリプトファンの量を増やし、メラトニンの合成を促す助けとなります。

GABA(ギャバ)

γ‐アミノ酪酸、通称ギャバ(GABA)は、神経伝達物質のひとつです。副交感神経を優位にすることで、睡眠の質をあげる役割があります。

ギャバの摂取目安量は、明確な指標が示されているわけではありませんが、バランスのよい食生活をしていれば、体内のギャバ量は不足しないと言われています。

ギャバが含まれている食品:玄米や発芽玄米、黒豆、納豆、キムチ、トマト、アボカド、ブロッコリー、ほうれん草、小松菜、レタス、バナナ、オレンジ、グレープフルーツ、イチゴ、ワインなど

ギャバ配合の食品やサプリメントも販売されているので、活用してみるのもいいでしょう。

マグネシウム

マグネシウムは、気分をリラックスさせたり、筋肉の緊張を解いたりする作用があり、睡眠の質向上に重要です。さらに、睡眠に大切な「メラトニン」を合成するときにも欠かせない成分です。

マグネシウムは、穀類、豆類、野菜類、調味料・香辛料、魚介類などさまざまな食品に含まれていますが、とくに多いのは以下の食べ物です。

マグネシウム含有量が多い食品:ヒマワリの種子、アーモンド、カシューナッツ、ほうれん草、かぼちゃなど

食べ物から摂る以外に、マグネシウムを含む入浴剤やオイルなどを使って、入浴の際に皮膚から吸収することもできます。

睡眠の質を高める飲み物

飲み物のなかにはリラックス作用の効果があるものも。ゆったりした気分で眠ることで睡眠の質を高める効果が期待できます。

たとえば、カモミールティーは鎮静作用があり、飲むとリラックス効果が期待できます。

温かい牛乳はリラックス効果に加え、トリプトファンを多く含んでいるため、メラトニンの生成を促進するので、眠りやすくなるでしょう。

反対に、カフェインを多く含むものやアルコールは睡眠の質の低下につながるので注意が必要です。

睡眠におすすめのサプリメント 

睡眠の質をあげるには、サプリメントの活用もおすすめです。次のような成分の含まれるサプリメントを選んでみましょう。

  • メラトニン     体内時計のリズム調整に関与し、睡眠の質をあげる
  • GABA        ストレスを軽減し、リラックス効果がある
  • グリシン      体温調整効果があり、睡眠の質をあげる 
  • テアニン      緑茶に含まれるアミノ酸で、リラックス効果がある
  • バレリアン根    自然な鎮静剤として知られている
  • オルニチン     ストレスホルモンを抑制する

ただし、サプリメントの効果には個人差があります。使用する際は、医師や薬剤師に相談し、自分に合ったサプリメントを選ぶことが大切です。

6.ぐっすり眠れない人は試してみて。睡眠の質を高める「食事」と「夜の過ごし方」

季節の変わり目は眠れない、または寝すぎてしまうという人は多いかと思います。自律神経も崩れやすいタイミングですが、良い睡眠のためにできることは多々あります。

夕食に何を食べるか、お風呂の入るタイミング、寝具、室温……これらと睡眠の関係性について、疲労回復や安眠を促すリカバリーウエア「リフランス」の発表会(2022年)で登壇した管理栄養士・築地麻結さんが解説してくれました。

なぜ睡眠は必要なのか

睡眠の役割は、大きく分けて2つあります。ひとつは「脳や神経の情報処理」、もうひとつは「細胞や筋肉の新陳代謝」です。眠ることで、脳と心のメンテナンスを行っているのです。

しかし、睡眠時間を多くとっても、その質が悪ければリカバリーのパフォーマンスは正しく発揮されにくいでしょう。以下に当てはまる人は、リカバリー力が低下している可能性があります。

リカバリー力の低下チェック

✓ 集中力が続かない
✓ 不安になる
✓ 疲れがとれにくい
✓ 肌が荒れる
✓ 傷が治りにくい

それでは、寝ても疲れが取れない、または限られた睡眠時間で効率よく疲れをとりたい人が意識したいポイントとは。

「睡眠の質には、眠りに入ったときの『入眠』が深く影響します。そのため、寝る前の環境がとても大事です」と語る築地さん。夜寝るまでの行動が、睡眠の質に大きく左右するようです。

快眠につながる食生活

築地さんは、食習慣の基本は「量」「時間(いつ食べるか)」そして「質(何を食べるか)」であると語っています。

五味五色を意識してさまざまな食材をバランスよく摂り、今の自分の体型に合った量を、お腹が空いたタイミングで食べるようにすると良いと言います。

この食習慣の基本を抑えつつ、「セロトニン」と呼ばれる神経伝達物質の分泌を促すのがポイントです。セロトニンには精神を安定させるはたらきがあり、夜間睡眠を誘うホルモンである「メラトニン」へ変換されます。

そのため、セロトニンの材料になるトリプトファン、ビタミンB6を多く含む食べ物を摂るほか、セロトニンの90%は腸で作られているので、腸を綺麗にする食べ物を摂ったり、便秘をしないよう腸活を行うのも効果的とのことです。

腸のメンテナンスをしてくれる食材

・水溶性食物繊維
海藻類、納豆、なめこ、オクラ、とろろなど

・発酵食品
味噌、ヨーグルト、塩麹、醤油麹、漬物、キムチ、チーズ、納豆、甘酒など

・難消化性オリゴ糖
ゴボウ、玉ねぎ、豆乳など

・オメガ3脂肪酸
サバ、イワシ、鮭、えごま油、亜麻仁油など

ちなみに腸内環境をチェックするなら、便の状態を見るのがおすすめ。少しヒビが入ったやや硬めの便、バナナ型の普通便、水分が多めのやや柔らかい便が「理想のうんち」なのだとか。

ウサギの糞のようなコロコロ便や、泥水のような軟便を繰り返す場合は、腸内環境の悪化が考えられます。

快眠におすすめの夕食は?

パフォーマンスを落とさない夕食のポイントは以下の通り。

・血糖値を上げない
寝る前に血糖値を上げてしまうと交感神経が優位になり、眠りの質を低下させるおそれがあります。同じ理由で、寝る前の甘いスイーツなども血糖値上昇で交感神経が優位となり、悪夢や歯ぎしり、寝汗などの要因にも繋がりやすくなります。

・消化の良い食材
低脂質で低カロリー、常温以上のものが胃に負担をかけないポイント。よく噛むことは消化の第一段階です。しっかり噛むことで食べものが細かくなり、さらに唾液に含まれる消化酵素と混ざることで胃の消化負担軽減につながります。

ちなみに夕食は、お風呂の1~2時間前に済ませるのが消化に負担をかけないそうです。

・腸活食材とミネラルを含む食材の摂取
先述した腸のメンテナンス食材や、外食ランチなどで不足しやすいミネラルを夕食で補うのがベスト。ミネラルサプリメントなら夜に飲むのがオススメです。

より良い睡眠のための「睡眠環境」

よく眠るための環境作りとしては、以下のポイントを意識しましょう。

寝室の暗さ

寝室の明かりは、色や物がぼんやりと見える程度(30ルクス※1)がベスト。明るいままだと眠りを誘うホルモンのメラトニンが抑制されてしまい、良い入眠につながらないといいます。

寝室の静けさ

ウトウトしかけたとき、音で目が覚めてしまった経験はありませんか? 音も睡眠を妨げる要因のひとつです。

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寝室の室温

冬は16℃以上、夏は27℃前後が良いと言われています(※2)。湿度は50~60%ほど(※3)。自分に合った快適な温度を探しましょう。

※1 北堂真子 良質な睡眠のための環境づくり バイオメカニズム学会誌 = Journal of the society of Biomechanisms 29(4),194-198,2005-11-01
※2  集合住宅における快適・健康性と省エネ性の両立を目指したウェルネスZEHの研究 (第4報)住戸における温度差に着目した提案と検証
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 2019.10(0),237-240,2019空気調和・衛生工学会
※3 川島庸,垣鍔直 夏期の睡眠時における最適な冷房条件に関する実験的研究 人間と生活環境(J、Hllmamlnd ljvlngEninonlllcllt),11(1),31/37,2004

<Edit:編集部>

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