斉藤立「これで自分、日本に帰れるのか…本当に情けない」メダルなしパリ終戦…3位決定戦で無念のタップ
2024年08月03日 00:44
柔道
最愛の父・仁さんが亡くなってから3482日目。その前日、結果的に最期の言葉となった「稽古、行け」に絶望していた12歳の少年は、本気で五輪を目指す日々の中で父の偉大さに気づかされ、教わってきたことの大切さを実感することになった。
「釣り手を立てろ」「けんけんで追うんだ」「おまえが将来相手にする選手は、2メートルを超える巨人だぞ」「謙虚になれ」「稽古はうそをつかない」
年齢を重ね、試合を繰り返し、より高いレベルの相手と組み合う中で、思い出すのは小1で柔道を始めた時から、仁さんに口酸っぱく言われ続けた言葉の数々だった。突然、行きつけの居酒屋に呼び出されて打ち込みを課され、大会では優勝しても会場の隅で反省練習をしたが、そうした日々がパリへとつながった。昨年4月の全日本選手権。優秀指導者表彰では仁さんを指名。代わって表彰式に出てもらった母・三恵子さんには、自室に飾る遺影を渡し、一緒に出席してもらった。
その写真の仁さんは、鬼の形相を浮かべている。撮影されたのは88年、全日本選手権の優勝直後だ。膝の大ケガを乗り越え、同年夏のソウル五輪への道を切り開いた際の父の表情が、心の琴線に触れるのだという。子供の頃、何度も見せられた父の試合映像だが、ボロボロの体で日本勢金メダルゼロの窮地を救ったソウル五輪だけは、「つまらないからいいよ」と見たがらなかったという。
「小中学校の時はロサンゼルスの、全盛期の根こそぎ持って行く柔道に憧れた。最近はソウルの方が心に来る。こんな人はいない」
日本一大きな期待を背負わされ、大きな体に付きまとうケガも乗り越えてきた斉藤だからこそ、今はそう思う。DNAと勝負魂を受け継いだ仁さん最後の愛弟子が、三恵子さんとの思い出の地パリで、五輪の畳に立った。メダルには届かなかったが、4年後に今回の悔しさと経験をバネに、必ず夢をかなえる。
◇斉藤 立(さいとう・たつる)2002年(平14)3月8日生まれ、大阪府出身の22歳。東京・国士舘高、国士舘大を経て、今年4月からJESグループ所属。父は84年ロサンゼルス、88年ソウル大会を連覇し、男子日本代表監督や強化委員長を歴任して15年1月に胆管がんで亡くなった仁さん。小1の時に兄・一郎さんが柔道を始めることになり、同時に開始。小6で全国少年大会、中3で全国中学校大会を制覇。19年には史上最年少の17歳52日で全日本選手権に出場し、3回戦敗退。22年には史上初の父子制覇を果たし、同年の世界選手権は初出場で2位。昨年8月にパリ五輪代表に内定。父子代表も日本柔道界では初の快挙となった。
おすすめテーマ
2024年08月03日のニュース
特集
スポーツのランキング
-
【バレー男子】日本が2大会連続の8強!1次L最終戦の米国戦で第3セット奪い決定!
-
大橋悠依 東京五輪2冠から3年「自分自身の選んだ道を誇らしく思う」200個メ準決勝敗退で連覇届かずも
-
大橋悠依「夢に見てた有観客。心の底から楽しむことができた」200個メ準決敗退も笑顔
-
【バレー男子】日本が第2セットも落とす 米国のブロックに苦戦 8強へ正念場続く
-
大橋悠依は準決勝敗退「やれることはやった」東京金の200M個人メドレーでまさか 初出場の松本も敗退
-
松元克央 準決勝敗退も「結果はついてこなかったけど、やり切った」男子100Mバタフライ
-
惜しい!フェンシング男子エペ団体の日本は銀 連覇届かず 加納も個人との2冠ならず 1本勝負で屈す
-
瀬戸大也 4年後のロス五輪「34歳。相当な覚悟がないと続ける必要はないと思っている…考えたい」
-
【バレー男子】日本が第1セット落とす 1次L最終戦の米国戦 8強へ正念場
-
水沼尚輝「明日はこのタイムを上回れるように」 男子100Mバタフライ決勝進出!自己ベスト更新目指す
-
水沼尚輝が決勝進出「とてもうれしい」 松元克央は敗退 男子100Mバタフライ準決勝
-
瀬戸大也「夢の舞台で全力で戦わせてもらえたことに感謝」200M個メ7位で2大会ぶりメダル届かず
-
【バレー男子】日本-米国戦の会場で照明が消えるアクシデント 3分間の中断挟みすぐに点灯→試合再開
-
渋野日向子 今季初国内戦も出遅れ83位「情けないゴルフで申し訳ないけど最後にイーグル取れてよかった」
-
瀬戸大也 200M個人メドレー7位「全体的にうまく泳げなかった」ラスト50Mで失速
-
【バスケ男子】篠山竜青が挙げた課題 起用できる選手の少なさ、守備の徹底…若手選手が考えるきっかけに
-
【ビーチバレー】長谷川&石井組 パリで待望1勝
-
【自転車】BMXレース 女子の畠山が準決勝進出 転倒乗り越えた
-
【水球】日本は3連敗 ハンガリーに10―17
-
【柔道】斉藤立の母・三恵子さん「今頃凄く怒っているだろうな」亡き夫・仁さんの思いを代弁 パリ五輪
-
耳に残る仁さんの「稽古、行け」父さんごめん、柔道・斉藤「力不足で…」遺影抱く母の前で無念メダルなし
-
5000mの日本勢3人は予選落ち 田中希実「現実が受け入れられない」1500mでリベンジを
-
斉藤立「4年後ロスで絶対…」父・仁さんの話に言葉詰まらす「お父さんと…お父さんと…優勝だったので…」
-
「現実が受け入れられない」田中希実、5000予選落ちにショック隠せず「ラスト1周の脚が…」
-
田中希実 5000m予選落ち「現実が受け入れられない」決勝わずか0秒98及ばず 6日は1500m予選
-
柔道男子・鈴木監督「3位決定戦でも勝つ気持ちにならないと日本代表とは言えない」斉藤に厳しいエール
-
斉藤立 メダルなし終戦…日本柔道のパリ五輪は終盤“失速”金3、銀1、銅3の7個 東京は金9の計12個
-
絶対王者・リネールが奪冠!柔道大国フランス 地元開催で金メダル「1」を死守 マクロン大統領と握手
-
斉藤立「これで自分、日本に帰れるのか…本当に情けない」メダルなしパリ終戦…3位決定戦で無念のタップ
-
松山英樹は首位キープ 最終18番は池ポチャでダブルボギーも68