烏龍茶に期待できる効果とは。飲み過ぎるとどんなデメリットがある?[薬剤師監修]
2024年10月02日 09:00
烏龍茶は中国を起源とし、深みのある味と香りが特徴的なお茶です。日本でも親しまれ、日常的に飲まれることも多い烏龍茶には、どのようなメリットがあるのでしょうか。ダイエットや肌、ニキビ、血圧などにいいと聞きますが、はたして。
烏龍茶が持つ健康効果や注意点を、あんしん漢方薬剤師・山形ゆかりさんが解説します。
烏龍茶を飲むとどんな効果がある?
1. ダイエット効果
烏龍茶にはカフェインが含まれており、利尿作用によって体内の余分な水分を排出し、むくみを解消する働きがあります。
さらに、烏龍茶に含まれる「烏龍茶ポリフェノール」は脂肪の吸収を抑え、消化酵素の働きを制限するため、食事で摂取した脂肪が体内に吸収されずに排出されることが期待されます。
これにより、烏龍茶を飲むことで脂肪の蓄積を抑え、体重増加を予防できる可能性があります。
油っこいラーメン屋や中華料理店で烏龍茶が出されるのは理由があったのですね。
2. 生活習慣病の予防
烏龍茶にはカテキンが豊富に含まれており、肝臓で生成される胆汁酸の排出を促進します。胆汁酸の排出が促進されることで、コレステロール値を正常に保ち、動脈硬化や高脂血症などの生活習慣病を予防する効果が期待されます。
また、カテキンには強力な抗菌作用があるため、風邪やインフルエンザ予防の効果も期待できます。
烏龍茶はカリウムやマンガンといったミネラルも豊富で、カリウムはナトリウムを体外に排出して血圧を調整し、高血圧を予防します。マンガンは骨形成を助け、インスリンの合成を促す働きがあるため、糖尿病や骨粗しょう症のリスク低減にも寄与します。
3. 肌を整える
烏龍茶ポリフェノールには、抗酸化作用を持つ「SOD酵素」を活性化する働きがあります。SOD酵素は体内の活性酸素を除去し、肌の老化やダメージを防ぎます。これにより、烏龍茶を日常的に飲むことで、美肌効果が期待できるのです。
さらに、タンニンも抗酸化作用を持っており、老化予防や免疫機能の向上、動脈硬化やがんの予防にも寄与します。
4. 虫歯予防
烏龍茶ポリフェノールには、歯垢が歯茎と歯の間に沈着するのを防ぐ働きがあり、虫歯予防にも効果的です。さらに、付着した歯垢を剥がれやすくする作用もあるため、口腔内の健康を維持する効果が期待できます。
烏龍茶はいつ飲めばいい? 飲むタイミング
烏龍茶を飲むタイミングは、食事中がおすすめです。
胃腸に食べ物が入っているときに烏龍茶を飲むことで、食事に含まれる脂の吸収を抑えることができるでしょう。
烏龍茶が持つ虫歯予防の効果も、食事中に飲むことで発揮されやすくなります。
烏龍茶がおすすめな人は? こんな悩みがある人へ
烏龍茶は以下のような特徴を持つ方におすすめです。
ダイエットをしている方
脂肪の吸収を抑えるため、お腹周りに脂肪がつきやすい方には、とくにおすすめです。
むくみが気になる方
カリウムやカフェインによってむくみの予防もできるため、脚のむくみが気になる方や、生理前にむくみが気になる女性にもおすすめです。
栄養の偏りによる肌荒れが気になる人
ダイエット中は栄養が偏り、肌荒れやニキビといった肌トラブルを起こす方もいるでしょう。
烏龍茶は烏龍茶ポリフェノールやタンニンの働きによって肌の健康をサポートする効果も期待できるため、肌荒れを防ぎたい方にもおすすめです。
生活習慣病の予防をしたい人
カテキンやカリウム、マンガンといった作用により生活習慣病の予防効果も期待できます。普段から健康に気をつけている方は、食事の際の水分補給を烏龍茶にすることで、今以上の健康効果が期待できるでしょう。
「最近、健康診断の数値が悪くなってきたような気がする」という方は、烏龍茶を試してみてもいいかもしれませんね。
烏龍茶を飲むときはココに気をつけて! 注意点
うれしい効果が多い烏龍茶。しかしいくつか注意点があります。
カフェインが多い
烏龍茶にはカフェインが多く含まれています。カフェインには尿量を増加させてむくみを防ぐというよい効果もありますが、摂り過ぎると以下のような症状が出ることもあります。
- 心拍数の増加
- 興奮や震え
- 吐き気やめまい
- 下痢や嘔吐
- 不眠
とくに、妊娠中や妊娠を考えている方は注意が必要です。妊婦が1日300g以上のカフェインを摂取すると、出生時の子どもの低体重や、流産や死産のリスクが高まると言われています。
同様に、授乳中の方も注意しましょう。子どもが母乳を通してカフェインを摂取すると、寝つきが悪くなったり落ち着きが悪くなったりすることがあるようです。
利尿作用がある
烏龍茶はカフェインやカリウムを含むため、利尿作用があります。頻繁にトイレに行きたくなる可能性があるため、外出前や就寝前に烏龍茶を飲むのは控えましょう。
とくに、就寝前に利尿作用のある烏龍茶を飲むことで夜中に何度も起きてしまい、睡眠の質が下がって翌日の活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
適量を飲む
健康効果を期待して烏龍茶を飲みすぎると、腹痛や頻尿といった悪い効果が現れる可能性があります。烏龍茶を飲む際は適量を飲むようにしましょう。
カフェインの1日の摂取目安量は健康な成人で400mg、妊娠中の女性で300mgだとされています。烏龍茶100mLに含まれるカフェインは約20mgですので、烏龍茶を2L飲むとカフェインの摂取目安量を超えてしまいます。
烏龍茶だけを大量に飲むことはなくても、カフェインはコーヒーやココア、チョコレートなどの他の食品にも含まれる栄養素です。他の食品に含まれる栄養素との兼ね合いも考えながら、烏龍茶の摂取量を決めましょう。
烏龍茶以外に健康効果の高いお茶と効果
健康効果の高いお茶は、烏龍茶だけではありません。烏龍茶以外にも健康にいいと言われているお茶を紹介します。
緑茶
烏龍茶と同じ茶葉で作られているお茶が緑茶です。茶葉を発酵させていないものが緑茶、半分ほど発酵されたものが烏龍茶です。
そんな緑茶は、殺菌作用を持つカテキンを豊富に含むお茶です。そのため、緑茶を飲むことでインフルエンザや風邪を予防する効果が期待できます。
さらに、カテキンは免疫細胞を活性化させるため、免疫力を高める働きも期待できます。既にインフルエンザや風邪にかかった方も、緑茶を飲んで免疫力を高めましょう。
緑茶に含まれるテアニンという物質は、「アルファ波」といって、リラックスしているときに多く発生する脳波を出現させることが知られています。
テアニンは脳の興奮を抑えて神経を鎮める働きをするため、ストレスを緩和して快適な睡眠をもたらしてくれるでしょう。
紅茶
緑茶と同じく、紅茶も烏龍茶と同じ茶葉で作られています。半分ほど発酵されたものが烏龍茶で、完全に発酵されたものが紅茶です。紅茶はポリフェノールが豊富に含まれているため、老化を予防する効果が期待できます。
また、緑茶同様にカテキンやテアニンも含まれているため、風邪の予防やリラックス効果も期待できるでしょう。
黒烏龍茶
黒烏龍茶は、2006年にサントリーが発売した商品名です。独自の製法によって、「烏龍茶重合ポリフェノール(OTPP)」という物質を含んでいます。
食事と一緒にOTPPを摂ることで、食後の血中中性脂肪の上昇を約20%抑制できると言われています。
また、食事と一緒に1回350mL、1日2本を継続的に飲むことで、体に脂肪をつきにくくし、脂肪の排出量を増やす効果も期待できるようです。
ドクダミ茶
ドクダミ茶は、脂肪の吸収を抑え体内の余分な老廃物を体外に排出することで、水太りやむくみ、便秘を予防する効果が期待できます。
「フラボノイド」という成分を含み、シミやそばかすの予防や、血行促進による肩こりの緩和、くすみやくまを解消する効果もあります。
さらに、フラボノイドは抗アレルギー作用を持っているため、花粉症やアレルギー性鼻炎などの、季節性のアレルギー症状を緩和する効果も期待できます。
飲むだけではなく、使い終わった茶葉をティーバッグに入れて浴槽に入れることで、湿疹やあせも、かぶれを改善する効果もあると言われています。
麦茶
麦茶は穀物である大麦を原料としているため、茶葉を原料とする烏龍茶や緑茶とは異なりカフェインが含まれていません。妊娠中や授乳中の方も安心して飲めるでしょう。
ミネラルを豊富に含むため、水分と同時に栄養を補給することもできます。とくに、カリウムとカルシウムが豊富なため、むくみに悩む方や骨や歯を丈夫にして骨粗しょう症を予防したい方におすすめです。
その他にも、美肌を維持したり血液をサラサラにして動脈硬化を予防したり、体を温めて冷えを予防する作用もあります。
監修者プロフィール
あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師を経て食養生の大切さに気付く。牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニューも開発。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」で薬剤師を務める。
<Edit:編集部>