白湯を毎日飲むと、どんな効果がある?作り方と飲むタイミング、1日の量[薬剤師監修]
2024年10月02日 09:00
「白湯」は、冷えや便秘、デトックスにおすすめの飲み物として有名です。体によさそうだからと、なんとなく飲んでいる方も多いのではないでしょうか。白湯の効果を正しく得るには、正しい作り方と飲むタイミングが重要です。
白湯のメリット・デメリットとともに、普通のお湯とは何が違うのか、いつ、どのくらい飲めばいいのかなどを、デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師の中田早苗さんに聞きました。
「白湯」とは。知っているようで曖昧かも
白湯とは、水を沸騰させて不純物を取り除き、50~60℃くらいまで冷ました飲み物のことです。
起源といわれるインドの伝統医学「アーユルヴェーダ」では、白湯が体を浄化し、健康を促進する効果があるとされ、不調を治すデトックスドリンクと考えられています。
日本でもお茶や水道水が普及する以前は、清潔な水を飲む手段として重宝されていました。最近では健康ブームやメディアで取り上げられたことにより、白湯への注目が高まっています。
白湯とお湯、何が違うの? 違いは「沸騰」
お湯は水を温めたもののことです。料理や飲み物のベースとして使われるもの以外に、飲用以外のお風呂のお湯なども含まれます。
お湯は必ずしも沸騰させる必要はなく、沸騰させずに40℃以上まで温めたものがお湯と区別されます。
白湯はしっかり沸騰させて、冷ます
一方、白湯は水を100℃までしっかりと沸騰させて不純物をなくし、そのあとに50〜60℃くらいまで冷ましたものです。
白湯を35〜37℃くらいまで冷ませば、湯冷ましにもなります。
水道水の場合、沸騰させなければ少量の塩素やそのほかの成分により、カルキ臭を感じてしまう方もいるでしょう。沸騰させて不純物を取り除くことで、口当たりが変わりまろやかで飲みやすくなります。
白湯を毎日飲むと、どんな効果がある?
知ると毎日とり入れたくなる、白湯に期待できる効果を見ていきましょう。
便秘解消、利尿作用によるデトックス
白湯は、熱すぎない温度で自然に内臓を温めることで、胃腸の働きを促進させます。水分をとることで便が柔らかくなり、さらに腸のぜん動運動が活発になるため、便秘解消に効果的です。
便秘にはストレスも関わっている場合があるため、温かい白湯を飲むことで得られるリラックス効果による改善も期待できます。
ほっと一息つきながら、ゆっくりと時間をかけて飲みましょう。
また、水分を摂取するので尿量が増え、血液中の老廃物も排出されやすくなります。体中の血液やリンパの流れがよくなり、むくみの改善にも繋がります。
冷え性の改善
白湯は体を内側からじんわりと温めてくれるので、冷え性の対策にもおすすめです。体内から温められることで代謝が促され、末端まで血液の巡りがよくなります。
とくに体温が下がっている寝起きには、早めに体温を上げることが大切です。朝の1杯目はミネラルウォーターを電子レンジで温めて、サッと飲めるようにしておくといいでしょう。
冷えからくる肩こりや腰痛にも効果的です。パソコン作業で体を動かす機会があまりない方は、合間に白湯を飲んでみましょう。
ダイエット効果
体温が1度上がると基礎代謝が10~12%アップすると言われています。基礎代謝が上がれば、自然と脂肪燃焼効率もよくなります。運動と組み合わせることで、よりダイエット効果を高めることができるでしょう。
また、食べすぎを防ぐ効果もあります。お腹がすいてお菓子を食べたくなったときに、白湯を1杯飲んでみてください。胃腸を温めることで食欲が少し落ち着きます。
肌を整える効果
肌トラブルの原因のひとつに、胃腸機能の低下が挙げられます。胃腸の機能が低下すると、身体に必要な栄養が十分に吸収されなくなったり、老廃物が溜まったりしてニキビや皮脂の過剰分泌などに繋がりやすくなります。
白湯で温めることで胃腸の機能を回復し、摂取した栄養素もうまく吸収できるようになります。また、腸内環境が改善されて老廃物が排出されやすくなり、新陳代謝がよくなります。これにより、肌細胞のターンオーバーを正常化して肌荒れを改善する効果が期待できるのです。
そして、体が温まると毛細血管が広がり顔色をよくしてくれます。メイクをする前に白湯を飲んでおくことで、ファンデーションのノリにも違いが出てくることも。とくに、寒い時期に血色が悪くなってしまう方におすすめです。
基本はこれ! 白湯の作り方
白湯の効果をきちんと得るためには作り方が大切です。水道水かミネラルウォーターでも大きく変わります。ライフスタイルに合わせた方法で取り入れていきましょう。
水道水で作る場合
日本の水道水は少量ですが塩素(カルキ)やトリハロメタンなどが含まれています。東京都水道局は「生涯にわたり摂取しても健康に影響が生じない水質基準」としていますが、気になる人は5分程度しっかりと沸騰させるとよいとのことです(※)。
大きな泡が出るくらい沸騰したら、弱火にして10~15分沸騰させ続けます。
カップに移し、50~60℃になるまで冷まします。
フーフーと息を吹きかけずに飲めるくらいがベストな温度です。やかんなどで1日分を作って保温機能の高い水筒などに入れると、毎回作る手間を省くことができます。
- 浄水器を使用してもOK
浄水器を設置すれば、塩素やトリハロメタンなどをろ過してくれるので、沸騰の手間を省くこともできますが、塩素が抜けると雑菌が繁殖する可能性が高くなるので、翌日に持ち越すのは控えましょう。
ミネラルウォーターで作る場合
ミネラルウォーターは沸騰させて不純物を取り除く必要がないため、電気ケトルで沸かしても問題ありません。
電子レンジなら600Wで1分半程度で作ることができます。水道水で作った場合と同じく、温めた後に息を吹きかけずに飲める温度にまで冷ましましょう。
起きてすぐや寝る前に飲む場合は「軟水」がおすすめです。硬水は健康によいとされていますが、軟水よりも胃腸へ負担をかけてしまいます。
白湯はゆっくりと内臓を温めてあげることが1番大切なので、胃腸に負担をかけないようにしましょう。
白湯はいつ飲む? おすすめのタイミング
白湯はいつ飲んでも構いませんが、たくさん飲めばいいというものでもありません。おすすめは以下のタイミングです。
寝起き、朝ごはんのとき
おすすめは寝起き、朝ご飯時タイミングです。寝ている間に体内の水分は減っているので、朝は多めに飲むことを意識しましょう。
10分ほど時間をかけ、ゆっくりと腸を刺激することでお通じもよくなります。
食前や食事中
食前や食事中に飲むと胃腸を活発にする効果があり、食べ物の消化や栄養の吸収もよくなります。お冷やお茶もいいですが、1杯は白湯を飲むことをおすすめします。
就寝前
就寝前に体温を上げておくことで、眠りにつきやすくなります。温かい飲み物には副交感神経を優位にしてリラックスさせる効果もありますので、質の良い睡眠にもつながり、寝起きにもいい影響を与えてくれるでしょう。
ただし、飲みすぎると夜間にトイレで起きてしまう可能性があるため、コップ1杯に抑えておきましょう。
白湯は1日どれくらい飲めばいい?
1日の摂取目安量は600〜800ml
1日に白湯を飲む量は600~800mlを目安にしましょう。白湯を飲みすぎると、胃液が薄められて消化吸収が悪くなったりむくみにつながったりする可能性があります。
200mlのカップで3、4杯程度がベストです。一度に飲むのではなく、飲むタイミングを決め、何回かに分けて飲みましょう。
注意点! 白湯は冷やし過ぎないようにしよう
白湯を作って時間が経ちすぎると、体を温めてくれる最大のメリットがなくなってしまいます。常温以下の水は体温を下げ、血流が悪くなり胃腸機能が低下してしまいます。
暑い日は冷たい水を飲みたくなりますが、運動後など体温が上がっているとき以外は冷やしすぎないようにしましょう。
作った当日なら電子レンジやケトルで温めなおしても効果はなくなりません。50~60℃くらいの温度で飲むことを意識してください。
白湯はすぐに変化を実感できるものではないが、続けることでいつの間にか変化を実感
白湯は体の内側から調子を整えてくれます。腸内環境が整い、体質を改善してくれる効果も期待できます。
すぐに実感できるものではありませんが、いつの間にか肌の調子がよくなっていたり、お通じに悩まなくなったりとプラスの変化があるはずです。
起きてすぐと寝る前にコップ1杯の白湯を飲むなど、自分に合ったタイミングで白湯を飲む習慣をつけてみてください。継続することで全身が健康的に改善していき、日々の生活がより充実したものになるでしょう。
監修・執筆者プロフィール
あんしん漢方薬剤師
中田 早苗
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
<Edit:編集部>