広島・永川、15年ぶり先発登板で現役に幕 燃え尽きた17年間「心が折れた」

2019年09月24日 05:30

野球

広島・永川、15年ぶり先発登板で現役に幕 燃え尽きた17年間「心が折れた」
引退セレモニーでナインから胴上げされる永川 (撮影・奥 調) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   広島4―3中日 ( 2019年9月23日    マツダ )】 広島・永川勝浩投手(38)は23日の中日戦で15年ぶりとなる先発登板をして、大島を一ゴロに抑えて現役生活を終えた。試合前にあった引退会見では「心が折れた」と決断の理由を吐露。同点の延長10回に会沢翼捕手(31)が、球団新記録となるシーズン12度目のサヨナラ勝ちを決めて花を添えた。
 
 心底楽しんだ一日の最後に涙が流れた。試合後の引退セレモニー。「僕を生んでくれた両親、一緒にいてくれた家族…」と感謝の思いに、永川は言葉に詰まった。

 ボールを握る間は、涙をこらえた。15年ぶりの先発登板の直前に、長女の始球式を見守った。「あれは(涙腺が)危なかった…」。気持ちを入れ直して、大島との真剣勝負に向かう。2球連続での141キロ直球でカウント1―1として、最後も141キロで一ゴロに仕留めた。「2ストライクまでいけば…」と代名詞のフォークを取り置いたのは少しの心残り。一塁ベンチからサヨナラ勝ちを見つめて、「来てくれるのがカープのいいところ」と大瀬良からのウオーターシャワーに濡れた。

 「今までで一番緊張した。声も枯れて、いい時間を過ごせた。真剣勝負の中、申し訳ないけど楽しかった」

 故障と向き合い続けた。10年に右内転筋を損傷して守護神の座を譲り、17年秋には左膝を手術した。150キロを越える直球と落差のあるフォークで押す投球術から、晩年はスライダー、カットボールを習得。スリークオーターにも挑戦し「心が折れた。体のことをいろいろ考えると限界を感じた」と言い切れるまでに燃え尽きた。

 「内転筋が切れたあの段階で終わっていたのだろうな…といまは思う。でも、あれがあったから頑張れたのかもしれない」

 球団最多まで積み上げた165セーブを思うと苦い記憶も甦る。17年間の現役生活で真っ先に思い出すのは、07年4月に横浜相手に喫した2試合連続でのサヨナラ負けだという。「何試合(先発の白星を)消したか分からない。僕の失敗のせいでプロで1勝もできず辞めた子もいる。本当に迷惑をかけた」

 通算527試合で先発はわずか5度と、抑えとして生きた。「いい思い出と言われたら、1年目から山本浩二監督にクローザーを任せてもらって、そういう道を作っていただいた。最初のスタートがあったからこその17年間だった。感謝しています」。赤ヘルの守護神としての責任感から、ようやく解放される。(河合 洋介)

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