日本ハム・栗山監督 15年以上愛用する腕時計への思いとは…

2020年08月25日 09:00

野球

日本ハム・栗山監督 15年以上愛用する腕時計への思いとは…
15日のロッテ戦で監督通算600勝を達成した日本ハム・栗山監督は記念ボードを掲げる(撮影・篠原岳夫) Photo By スポニチ
 日本ハム・栗山英樹監督(59)は遠征などの移動時は、誰もが知っているスイス製の腕時計を左手につけている。今年2月、沖縄・名護キャンプを訪れた記者が「監督の時計、今は定価以上で、かなりのプレミアがついてますよ」と振ると、返事は「え?そうなの?全然、知らないなぁ…」とあっけらかんとしたもの。続けて時計を購入した経緯を明かしてくれた。
 国立の東京学芸大から83年ドラフト外でヤクルトに入団。86年にレギュラーを奪うと、爽やかなルックスもあって人気を集めた。だがメニエール病の発症や右肘の故障などもあり90年に29歳の若さで現役を引退。その後はキャスターに転身してプロ野球や高校野球を分かりやすく解説し、お茶の間の人気者となった。

 少年野球のコーチでもあった父の影響で「教育者」への憧れを持ち、大学時代に教員免許も取得していた栗山監督は、引退から3年後の93年に桐朋学園短期大学の非常勤講師に就任。健康科学や運動科学の授業を受け持った。元プロ野球選手でも給与面などで優遇されることはなく、時給制。それでも「将来の自分のために」と自宅から1時間以上も電車に揺られて通勤し、13年も続けた。

 貴重な経験を積み、人間的にも大きく成長できた期間が終わり、一切、手を付けることがなかった給与口座を確認すると、まとまった額が貯まっていた。「必死になった結果として貯まったもの。浪費するのではなく、一生、残るものに変えたい」と思い、その金額で買えるものを調べた結果、時計を購入した。プロ野球界にはコレクターも多いが、栗山監督は15年以上もその一本を大切に使用し、周囲にひけらかすこともしない。プレミア価格を気にするなど下世話でミーハーな記者とは対照的に、誠実な人柄がにじむエピソードだ。

 小学校の卒業文集で書いた「将来の夢」は「プロ野球選手になって、プロゴルファーになって、体育の先生になる」だったという。今月15日のロッテ戦で監督通算600勝に到達。北海道民が世界に誇れるボールパークとチームを目指し、その身を捧げている。座右の銘は「夢は正夢」。47年前の栗山少年が思い描いていた未来とは少し違うが、夢に向かって努力を重ねる姿は、今も変わらない。(記者コラム・山田忠範)

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