大リーグ労使交渉長期化で思い出す27年前 「トルネード旋風」で人気復活に貢献した野茂英雄さん

2022年03月10日 07:30

野球

大リーグ労使交渉長期化で思い出す27年前 「トルネード旋風」で人気復活に貢献した野茂英雄さん
交渉場所の一つとなったニューヨークの選手会本部(撮影・杉浦大介通信員) Photo By スポニチ
 大リーグの労使交渉が紛糾し、大リーグ機構側のロックアウトが長期化している。シーズン開幕も延期された。このニュースに触れるたびに27年前を思い出す。95年のちょうどこの時期、記者は米フロリダ州のベロビーチに滞在していた。
 かつてのロサンゼルス・ドジャースのキャンプ地「ドジャータウン」。パイオニアとして海を渡った野茂英雄さんの取材だった。大リーグはストライキの真っ最中。野茂さんは傘下3Aアルバカーキ所属という立場でマイナーのキャンプに参加していた。記者も2月中旬から同行して取材。ようやくストが明けたのは4月2日(日本時間3日)だった。

 開幕日は約1カ月遅れの4月26日(同27日)に決定。それに向け、メジャーリーガーが参加してのキャンプが再スタートした。野茂さんは今度は招待選手という立場で参加。記者も当然、その姿を追いかけたが、長期滞在となったベロビーチは米国の典型的な郊外の素朴な田舎町で、小さな町だった。日本食のレストランはなく、中華料理店もわずか。とにかく食事に困った。

 報道陣は車で約2時間半かけて大都市オーランドまで日本食を求めにいった。同じく車で約1時間のメルボーンという町に1軒だけ日本食のレストランがあり、そこにも通った。野茂さんも日本食が恋しいだろうと、大量のおにぎりを作ってもらって差し入れたこともある。結局、開幕直前に移動するまでベロビーチには2カ月半近く滞在した。

 ちなみに当時、日本での報道はオウム真理教一色。この年の3月に地下鉄サリン事件を起こし、その後もスポニチを含めて連日、新聞の1面だった。現在のようにインターネット環境もない。遠い日本でのニュースは、電話越しに聞くことしかできなかった。

 野茂さんはメジャー1年目に13勝。新人王を受賞した。「トルネード旋風」で全米を沸かせ、長期のストライキでファンが離れた大リーグの人気復活に貢献した。そして今年。労使交渉の紛糾で再びファン離れが叫ばれている。歴史は繰り返す。きっと、エンゼルス・大谷が二刀流での活躍でファンを呼び戻す――。そんなシーズンが待っているような気がしてならない。(スポーツ部・鈴木 勝巳)

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