強打に快足「怪童」のDNA受け継ぐ高松商・浅野

2022年08月16日 04:02

野球

強打に快足「怪童」のDNA受け継ぐ高松商・浅野
<高松商・九州国際大付>1回、先制のホームを踏んだ高松商・浅野(撮影・岸 良祐) Photo By スポニチ
 【第104回全国高校野球選手権大会第10日・3回戦   高松商2-1九州国際大付 ( 2022年8月15日    甲子園 )】 【秋村誠人の聖地誠論】速い、速い。あっという間にダイヤモンドを一周してきた。2打席連発の強打だけと思ったら大間違いだ。令和の「新怪物」、高松商・浅野翔吾は足の方でも見る者をワクワクさせてくれる。
 初回。二塁内野安打→二盗→山田一成(3年)の左前打、で先制のホームを踏んだ。高い走塁技術と快足を生かした先制点。浅野も手応えがあったのだろう。左前打で生還したとき、右手の拳を握りしめて雄叫びを上げた。その姿に、3万1000人で埋まったスタンドはどよめき、大きな拍手が起こった。2打席目以降は死球、四球に右飛の2打数1安打1得点。2試合連続アーチは見られなくても、ポテンシャルの高さを甲子園で存分に見せつけた。

 強打に快足。香川県高松市出身とくれば、かつて「怪童」と呼ばれた中西太氏(89)がいる。1950年代に西鉄(現西武)の主力として黄金時代を築いた中西氏は、高松一(香川)で出場した51年夏の甲子園で2試合連続本塁打を放っているが、その2本ともランニングホームラン。豪快な打撃が有名な一方で、西鉄時代も入団2年目の53年にはトリプルスリー(打率.314、36本塁打、36盗塁)を達成するなど「足も速かったんだよ」と回想している。

 高松商にとって、高松一は昭和初期からしのぎを削ってきた相手だ。浅野はライバル校との垣根も越えて「怪童」のDNAも受け継いでいるのだろう。11日の2回戦(対佐久長聖)で放った2本塁打が柵越えで披露できなかった快足を、この日の初回に見せるあたりにかつての中西氏のようなスター性も感じる。現役時に1メートル74、93キロだった中西氏に対して浅野は1メートル71、86キロ。往年の「怪童」の姿は写真でしか見たことがないが、小柄でがっちりとした体形もどこか似ている気がする。

 高校野球史には歴史を彩った凄い選手が数多くいる。その中の一人、71年前の「怪童」を浅野が強打と快足で掘り起こしてくれた。高松商は52年ぶりのベスト8。浅野の夏は、まだ終わらない。(専門委員)

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