金本知憲氏 阪神・森木に感じる川上憲伸、黒田博樹の雰囲気 直球も変化球も一級品、近い将来エースに

2022年08月29日 07:00

野球

金本知憲氏 阪神・森木に感じる川上憲伸、黒田博樹の雰囲気 直球も変化球も一級品、近い将来エースに
金本知憲氏 Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神1―4中日 ( 2022年8月28日    バンテリンD )】 【金本知憲 視点】じっくり森木の投球を見るのは初めてだったが、一言で言えば、非常に楽しみな投手だ。近い将来、エースになれる逸材。すでにプロとしての体も、できつつあると感じた。この日の投球だけで判断すれば「弱点」もあまり見られなかった。
 まずは投手としての立ち居振る舞いが素晴らしい。投球に集中できている姿が印象的だった。マウンド上で作り笑いをするわけでもなく、また不自然に強気な表情や余裕があるぞ、というしぐさも見られない。当然、緊張感はあっただろう。しかし“作った姿”を見せるのではなく、最後まで自然体で打者と対峙(たいじ)。そういう投手としての所作にも大きな可能性を感じた。元中日・川上憲伸や元広島・黒田博樹に似た印象を持った。

 そして投手の基本であるストレートにも力がある。中日の攻撃陣はそろって高めのストレートに差し込まれていた、また左右打者への内角球も威力があった。そのストレートを基本として変化球もコントロールできていた。どの変化球でもカウントが取れ、低めに沈むボールでゴロアウトも奪えていた。高卒1年目ながら完成された投手のように思えた。

 中日は若手選手が多く、発展途上のチーム。この日は“参考記録”という見方もあるが、十分に評価できる投球内容だったと言える。6回、91球を投げて申告敬遠の1四球。制球力の高さを物語る結果だ。今後は相手チームも研究し、対策も練ってくる。左右の打者が逆方向への打撃を徹底した場合の投球を、早くも見てみたい。

 1点劣勢で迎えた6回2死一、二塁の場面。阿部に右越えの2点適時二塁打を浴びたボールは、確かにコースが甘くなった。投手は「低めに投げる」が鉄則。ただ、その基本が裏目に出たとも言える。結果球が低めではなく、仮に高めのストレートだった場合はファウルになっていたと予想する。また、阪神の攻撃陣が先に2点、3点と取っていれば、外野手も前進守備シフトを敷いていなかった。相手の先発が柳ということもあり、今回は勝ち運がなかっただけで気にすることはない。

 現在の先発陣の中に入っても違和感はない存在。無理をさせてはいけないが、今後も先発の一人としてローテーションに入っても、何ら不思議ではない。 (スポーツニッポン評論家)

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