東海大菅生のプロ注目右腕・日当 8強導く完封 絶対の自信“七色フォーク”光った7K

2023年03月29日 05:00

野球

東海大菅生のプロ注目右腕・日当 8強導く完封 絶対の自信“七色フォーク”光った7K
<東海大菅生・沖縄尚学>完封勝利を挙げガッツポーズする日当(撮影・須田 麻祐子) Photo By スポニチ
 【第95回選抜高校野球大会第9日・3回戦   東海大菅生1-0沖縄尚学 ( 2023年3月28日    甲子園 )】 3回戦4試合が行われ、ベスト8が出そろった。東海大菅生(東京)は沖縄尚学に1―0で勝利。プロ注目の右腕・日当(ひなた)直喜(3年)が得意のフォークを駆使して完封した。直前には大阪桐蔭が能代松陽(秋田)に1―0で辛勝。2試合連続の1―0は選抜では08年以来、15年ぶりの珍事となった。両校は29日の準々決勝で21年夏の「泥んこ試合」以来の再戦。夏春連覇を狙う仙台育英(宮城)は龍谷大平安(京都)に6―1で快勝し、順当に8強入りした。
 ピンチでも顔色は変わらない。日当は「分かっていても打たれない」とフォークに絶対の自信を持つ。5回無死満塁で空振り三振。「落ちた」と思ったところからもう一段階落ちる「二段階フォーク」だ。続く右打者にはシンカー気味にフォークを落とす。狙い通り5―2―3の併殺に斬った。

 1メートル90、105キロの大器が覚醒の時を迎えている。最速145キロの直球と、実に7種類の変化を操る「レインボーフォーク」のコンビネーションでスコアボードにゼロが並ぶ。援護は1点で十分だ。守備陣は3失策や記録に残らないミスも続いたが「カバーできなければエースではない」と責任感を白球に込める。9回2死一、二塁では134キロと直球の球速に近い「高速フォーク」で空振り三振。119球で被安打6、7奪三振の完封勝利を挙げた。

 左耳は生まれた時からほとんど聞こえない。ピンチでは三塁側アルプス席から相手のチャンステーマ「ハイサイおじさん」が流れたが、そのたびに右耳で聞き「自分の応援だと思った」とメロディーを口ずさんで自らを鼓舞した。左耳の形が人と違い「小さい頃はばかにされたりいじめられたりしたこともあった」と言うが「“これだけやれるんだ”と見返してやろうという気持ちでやってこられた」と言う。7人きょうだいの上から5番目。高校入学前には母・直美さんから耳の整形手術を打診されたが「もう気にしていない」と固辞。弱みを強みに変えた精神力は、大舞台でも健在だった。

 2試合で計11回を無失点で2年ぶりの8強。29日に対戦する大阪桐蔭は21年夏の1回戦で降雨コールドで敗れた因縁の相手だ。「打てるものならば打ってみろ、と思って投げます」と日当。連投する覚悟はある。予報は快晴。忌まわしき「泥んこの記憶」を、消してみせる。(柳内 遼平)

 ◇日当 直喜(ひなた・なおき)2005年(平17)7月6日生まれ、東京都墨田区出身の17歳。梅若小1年時に鐘ケ淵イーグルスで野球を始め、桜堤中でも同チームに所属。東海大菅生では1年秋からベンチ入り。遠投120メートル、50メートル走6秒6。好きな言葉は「気持ちは技術を上回る」。1メートル90、105キロ。右投げ右打ち。

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