阪神・村上の極意は2つ!胸は「開くのを我慢」 踏み込む左足は「ピンッ!」 無双を生んだフォームの変化

2023年05月02日 09:00

野球

阪神・村上の極意は2つ!胸は「開くのを我慢」 踏み込む左足は「ピンッ!」 無双を生んだフォームの変化
村上の投球フォーム<左>23年4月22日、<右>21年5月30日 Photo By スポニチ
  開幕から25イニング連続無失点を継続中で、ここまで2勝0敗とブレークしている阪神・村上頌樹投手(24)が、連続写真で自身のフォームを自ら解説した。以前と比べて「胸の開きの我慢」、「踏み出し足の力強さ」が変わったと自己分析。1月の合同自主トレで青柳晃洋投手(29)から受けた助言をきっかけに誕生した新フォームだ。これが奏功して肩肘への負担が減ったことが、飛躍につながっていた。
 今を時めく村上に、自身の投球フォームの連続写真を見比べてもらった。右側が、ルーキーイヤーの21年5月30日、プロ初登板の西武戦。左側はプロ初勝利を挙げた23年4月22日の中日戦だ。2つの変化が、右腕の進化を物語っていた。

 「一番の違いは、左足が着いた時の胸の向きですね。打者に対して隠れているというか、踏み出しと同時に一緒に開いていかないというか。以前のフォームは、左足の着地と同時に、開いてしまっていますね」

 間髪入れず続ける。

 「踏み出し足も大きく変わりました。今はフィニッシュでピンと突っ張っています。以前は(球威が増す要素になる)左足のブレーキが弱かった。それを改善するために、恐る恐るフワっと着地していた左足を、今はドンって強く踏み出しています。足首、膝、股関節の3カ所に力をためた状態で、一気にいくイメージです」

 最初に挙げた「開きの我慢」は、連続写真の左から7番目のコマにあたる。撮影角度や画像の静止場面で2枚の写真にはズレがあるとはいえ、確かに、今年は胸が三塁側を向いている。2つ目の「左足の強い踏み出し」は一番右のコマを指す。下半身、特に左足の踏ん張り方の違いが顕著だ。

 2つの改善によって何が変わったのか。

 「今は下半身の力を使って、ボールに力を伝えられています。軽く投げてもいい球がいくっていうか。肩肘の負担は、かなり減りました。だから、これだけ長いイニングが投げられているのかな、と。プロに入って1、2年目は本当に消耗が早かった。ちょっと力を入れて投げたら、5回くらいできついなと思っていたので。今は、同じ5回でも、まだまだいけるなという感覚があります」
 胸の開きを抑えることで「間」が生まれ、打者が打ちづらくなる。左足を強く踏み出すことで、持ち味の「浮き上がる真っスラ」の球威も増す。これらのメリットに加え、右腕が最も感じているのは、フォーム改造によって上半身任せの投げ方から脱却でき、肩や肘への負担が減ったこと。ペース配分を必要以上に考えず、序盤からしっかり腕を振って投げられるようになった。新人から2年連続で防御率&勝率1位に輝くなど、ファームでタイトルを計5つも獲得した「2軍の帝王」から脱却できた。

 崖っ縁の心境で臨んだ1月の青柳との合同自主トレがターニングポイント。2年連続最多勝から「開きの我慢」のアドバイスをもらい、現在の投げ方にたどり着いた。新フォームに取り組んでわずか4カ月での劇的な変化は、裏返せば、まだ進化の過程といえる。やっと芽が出たばかりの24歳が目指すのは、先発ローテーションの死守。賛否を呼んだ7回完全での降板や、継続中の25イニング連続無失点は、思い切った投球の副産物にすぎない。(倉世古 洋平)

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